• メディカル韓流、世界が注目する韓国医学



  • 「『通じざれば即ち痛み、通ずれば即ち痛まず』世の中のすべての流れを良くし、この世に病で苦しむ人をなくすこと、これが私の願いである。」これは、世界記録文化遺産に登載された朝鮮時代の医学書「東医宝鑑」を書き、病に苦しむ人々を助けたいという心で生涯を捧げた許浚(ホ・ジュン)の言葉です。時は流れ、今、朝鮮時代の名医、許浚(ホ・ジュン)の精神を受け継いだ韓国の医学は、メディカル韓流として世界に向けてはばたき始めています。

    仁川(インチョン)国際空港。ソウルの近郊、京畿道(キョンギド)富川(プチョン)にある順天郷(スンチョンヒャン)病院のスタッフたちが空港に着いた外国人の患者を出迎えています。 治療を急がなければならない人はそのまま病院へ、一方、日程にゆとりのある人はホテルへ向かいます。車が病院へ着くと、病院の入口に医療陣が待機していて、ノンストップで患者を病室へ案内します。患者の病気や症状に関する基本的なデータは前もって病院側に送られ、検査などの日程が決まっているため、入院から治療までの過程が滞りなく進められます。言葉の問題を気にする人もいますが、この病院では外国語が可能な20人以上のコーディネータが密着通訳をしているので心配は要りません。

    韓国への医療観光が急増したのは、今から5年前、2009年頃からでした。当時、韓国政府は、韓国の優れた医療技術を前面に打ち出し、医療観光客を誘致する「メディカルコリアマーケティング」に乗り出しました。マーケティングの効果もあって、この5年間、韓国への医療観光は年々増えています。



    韓国への医療観光といえば、一時は、美容成形が中心でした。しかし、近頃は順天郷病院の例からも分かるように、大手病院を中心に癌や心臓病、脳疾患など、比較的症状の重い患者の割合も高くなっています。 先端の医療機器を使った迅速な診療と治療で、韓国での医療観光に対する満足度はますます高まっています。

    医療観光で、治療に劣らず大事なのが食事です。順天郷病院の国際病棟には重い症状の患者が多く、食習慣も異なる外国人であるため献立を作るときも細かいところまで気を配っています。

    医療観光を兼ねて韓国を訪れているのは重い病気を治すためだけではありません。ソウルの江南にある自生(チャセン)韓方病院は、手術をせずに椎間板ヘルニアなど、脊椎関連の治療を専門に行う病院として知られています。日本ではほとんど見られなくなってしまった伝統医学ですが、韓国でその効果を体験した外国人患者が多く、口コミで訪れるケースもかなりあるそうです。医療観光で、韓方医学に劣らないくらい大勢の患者が訪れている分野は、不妊症の治療です。韓国の不妊症治療は世界的に高く評価されています。韓方の治療や不妊症の治療の場合、滞在期間が長く、食事や動きが自由なので、観光やショッピング、そしてグルメの旅も楽しむこともできます。



    医療観光といっても治療が目的とは限りません。休暇を兼ねて韓国を訪れ、健康診断を受ける人たちも多くなっています。健康診断を兼ねた韓国への医療観光は中国などでも人気が高まっていて、多くの病院で外国人のためのさまざまな健康診断プログラムが企画されています。

    現在、韓国を訪れる医療観光客で一番大きな割合を占めているのは中国人です。中国からの医療観光客は年間12万5千人、次いで多いのがロシアで、年間11万人。去年1年間、延べ65万人ほどが医療観光のために訪韓しています。思った以上に多くの人が、医療観光のために韓国を訪れているのです。

    韓国の医療技術が外国人患者の信頼を得るまでには先端の医療機器や技術の他、長い間、海外で医療ボランティアに取り組んできた医療陣の努力もありました。また、韓国の医療陣の海外でのセミナーや手術の実演などの機会が多くなるに伴って、韓国の医療技術をマスターするために韓国を訪れる医療陣も年々増えています。

    第3の韓流とも呼ばれるメディカル韓流。世界に向けてはばたき始めたメディカル韓流の中心には、絶えず新しい技術を開発し、温もりが感じられる治療を目指す韓国の医療陣の努力があります。そして、その心と努力は、この世に病で苦しむ人がいないことを願った朝鮮時代の名医、許浚(ホ・ジュン)と通じているのかも知れません。