• KBSワールドラジオ特別企画「偉大な遺産、キムジャン」



  • 冬の始めに、冬越し用のキムチを大量に仕込む「キムジャン」。韓国ならではのこのキムジャン文化は、去年の12月、ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。キムジャンは、長い間、韓国の食卓を守ってきた韓国人の知恵であり、韓国の偉大な遺産の一つなのです。

    11月の始めになると、韓国では必ずといっていいほどキムジャンについてのニュースが登場します。韓国の食卓に欠かせないキムチを大量につけるキムジャンは韓国の家庭にとって、それだけ大きな行事なのです。キムチとキムジャン文化をユネスコの無形文化遺産に登録する際にも韓国の食卓におけるキムチの役割が強調されました。最近はキムチを少しずつ買って食べる家も増えていますが、まだ多くの人が手作りのキムジャンキムチの味に大きな価値をおいています。

    韓国の歴史に、現在のキムチを意味する漢字「菹(チョ)」が初めて登場したのは、高麗時代初期、つまり10世紀頃でした。これだけ長い時間、キムジャン文化を守ってきたのは韓国の女性たちでした。キムジャンキムチの伝統と味は、母から娘へ、また姑から嫁へと受け継がれてきたのです。



    おいしいキムチを漬けるためには、それだけの手間がかかります。時間をかけて苦汁(にがり)を抜いた塩、天日に干した赤唐辛子、一昼夜漬け込んだ白菜、機械ではなく手で切って準備する薬味のヤンニョムなどがキムチの風味を活かすのです。また、昔はどの家庭でも地面を掘って、キムジャンで漬け込んだキムチの甕(かめ)を埋めていました。今はキムチ専用の冷蔵庫を使う家庭がほとんどですが、昔は地面に埋めた甕のなかでじっくりと時間をかけてキムチを熟成させていたのです。真心を込めて作った料理、という言葉がありますが、その真心には時間も含められているようです。

    一昔前までは韓国のお母さんたちはキムジャンで大量のキムチを仕込み、近所と分かち合っていました。韓国の人たちにとってキムジャンは分かち合いであり、母親の温もりと懐かしさを思い浮かべさせる文化でもあるのです。こうした分かち合いはボランティア活動としても発展しています。



    昔も今もキムジャンは大仕事です。そのため、今でもキムジャンの日には家族や親戚、近所の人まで手伝いにきます。キムジャン文化を通して韓国人の共同体意識を垣間見ることができます。寒い冬、長い時間、外でキムジャンをするのはつらいことですが、みんなが集まると楽しい時間になるのです。

    キムジャンは、外国人が韓国社会や文化を理解するのに大きな役割を果たすようになりました。韓国を代表する食品のキムチの作り方も人気がありますが、キムジャンに参加することで、にぎやかな雰囲気のなかで韓国人と触れ合う機会を作ることができるからです。体験イベントやボランティア活動などを通じてキムジャンは外国の人たちに韓国固有の文化を伝える新しいツールとなっています。

    千年を越える長い歳月、母から娘へ、またその娘へと受け継がれてきた韓国のキムジャン文化は、今、世界文化遺産としてその価値が認められるようになりました。これまでのキムジャン文化は韓国のお母さんたちによって守られてきました。しかし、この偉大な遺産、キムジャンを楽しい分かち合いの行事として、世界へ、そして未来へと伝えることは、今を生きるすべての韓国人に残された課題なのです。




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    1,2,16 Namdo Food Master, Chun Su-bong
    3,4,8,17 Terra Madre
    5,6,7,14,15 Han Bok-sun Food Culture Institute
    9 Korea Yakult
    10,11,12,13 Keimyung University Young-mentor