• 第1部「分かち合いの技術」


  • 2014年5月19日。ソウルの南部、瑞草(ソチョ)区にある韓国国際協力団の教育院では、コイカ第91期生による宣誓式が行われました。海外でのボランティア活動を中心とする韓国国際協力団、コイカ。この宣誓式は1ヶ月間の教育を終えて、コイカの団員として海外でのボランティア活動を始める合図です。



    今から64年前の今日、6月25日、韓国戦争が勃発しました。一つの国が南北に分かれて戦ったこの戦争で、韓半島は廃虚と化しました。戦争が終わると、韓国の人たちは国を立て直すため、国際社会からの援助を受けながら復興に取り掛かりました。その結果、韓国は世界経済15位圏にランキングされるまでになり、経済協力開発機構=OECDの開発援助委員会にも加入しました。援助を必要とする国々に開発支援とともに、知識と技術、経験を伝えています。援助を受けていた国から援助をする国へ成長したのです。

    宣誓式を終え、仁川(インチョン)国際空港に着いたコイカの団員。一行が向かったのは、東洋の真珠と呼ばれる国、スリランカです。ヨーロッパ諸国の植民地政策と26年にわたる内戦によって長年苦しんできたスリランカは、2009年、内戦の終結で新たな一歩を踏み出しています。



    韓国国際協力団、コイカは、スリランカのように、紛争や自然災害によって援助を必要とする国々をさまざまな方法でサポートしています。たとえば、激戦地だったジャフナ地域には実習中心の教育を実施する専門技術訓練施設を設立しました。機械や部品を作る技術を基礎から教え、学生たちといっしょにスリランカ固有の検索エンジンを立ち上げる計画を立て、財政の自立を支援しようとしているのです。

    韓国国際協力団、コイカで活動している団員の年齢はまちまちです。活発な活動が可能な一般団員を中心に、専門分野で長い経験を積んできたシニア団員、諮問団などで構成されています。これに今年初めて結成されたドリームボランティア団が加わりました。ドリームボランティア団は専門高校を卒業して2年以内の団員で構成されたコイカ最年少のボランティア団です。



    コイカの団員たちは、コイカでの活動を決心した時から、苦労は覚悟していますが、それでも現地の気候や文化、生活環境に慣れるまでには努力と時間が必要なのだそうです。彼らは、現地で使っている方言などの言葉を習ったり、現地の人たちと同じ衣装を着て働いたり、いっしょに食事をしたり、バスに乗って通勤したりしながら、周りの人たちと溶け込もうと努力します。海外でのボランティア活動は、意欲と意気込みだけで良い結果を出すわけではないからです。

    環境や文化に慣れ、言葉の壁を乗り越えることで現地の人たちとコミュニケーションすることができ、このコミュニケーションこそ、本当の意味のボランティア活動、すなわち、分かち合いを可能にする技術だからです。相手の文化を尊重し、その心が伝わると、閉ざされていた心が解き放たれ、ここから本当のコミュニケーションが始まるのだそうです。コイカの団員たちは「援助するために来たボランティア」ではなく、心を分かち合う友人として、現地の人たちを接しているのです。



    本当の意味のボランティアは、一方的に分け与えるのではなく、互いの文化を理解し、コミュニケーションを通じて蓄積された経験と知識を共有することで、これこそ分かち合いの技術なのです。魔法のような力を持つ分かち合いの技術を実践するため、今この瞬間も、1500人あまりのコイカの団員は世界のどこかでボランティア活動に取り組んでいます。
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