
韓国のコーヒーショップで、店内でプラスチックカップが使われている光景をよく目にしますが、これは「資源の節約と再利用促進に関する法律」に違反しています。アイスコーヒー用に使われるプラスチックカップについては、テイクアウトのときにのみ使えるようになっているからです。違反した事業場には、その面積に応じて5万ウォンから50万ウォンの罰金が課せられます。店舗内で冷たい飲み物を飲むときは、マグカップやガラスのカップ、紙コップを使わなければなりません。店舗内でのプラスチックカップの使用禁止という規定は1994年につくられたものですが、事実上うやむやになっているといえます。管理の主体である自治体が、人手不足を理由に取り締まりを行えないでいるからです。
取り締まりの対象から外れているところもあります。環境部と、「使い捨て用品の使用を減らすための自発的取り決め」を結んでいる大手コーヒーブランド(12社)とファストフード店(5社)は一定の条件をクリアすることを条件に取り締まりの対象から外されています。その条件とは、タンブラーを使用する顧客には飲み物を割引価格で提供する、注文を受ける際に顧客に「マグカップを使うかどうか」を訊く、店内で捨てられた使い捨てのカップの分別収集を行いリサイクル業者に渡す、などです。
韓国でプラスチックカップは2012年の一年間、約30億個が使われたという数字があります。以後は統計は出されていませんが、2016年に韓国人は一人当たり500杯のコーヒーを飲んだとされていることから、プラスチックカップの使用量もだいぶ増えているだろうと思われます。ところが、専門家らによりますと、このなかでリサイクルされているのは全体の10%にも満たないだろうということです。
現在の回収システムでは、複数の素材でつくられるプラスチックカップを区別してリサイクルするのが困難だからです。プラスチックカップは同じような透明な材質のプラスチックにみえても、実は種類が一つではなく、ペットボトルと呼ばれるボトルの素材(PET:ポリエチレンテレフタレート)が90%、ポリスチレン(PS)カップが8%、ポリプロピレン(PP)カップが2%くらいだといいます。アイスコーヒーを飲むときのストローは主にポリスチレンです。でもいまの回収システムではこうした素材別に分けるのが難しく、PETが90%といっても、混ざっているその他の素材を選別することができなければ、リサイクルが難しいというのです。
それでもリサイクルが相対的にうまくいっているのは、環境部と「使い捨て用品の使用を減らすための自発的取り決め」を交わした大手コーヒーブランドです。この取り決めを交わしたところでは、廃棄された使い捨て用品を分別したうえで各社が契約したリサイクル業者に直接送っています。リサイクル業者のほうでは、プラスチックカップを細かく粉砕して繊維を抽出し、ぬいぐるみなどに詰められる綿などに活用するほか、プラスチック成型加工業者にも送られ、さまざまな資材として使われているということです。なかでもフランチャイズでなく直営店の場合は、本社での教育が徹底しているため、カップ、ストローなどの分別収集が比較的よく行われているそうですが、フランチャイズの場合は店主の意志によってリサイクル率がまちまちなのだそうです。こうしたことを考慮したうえでリサイクル推定値は多くて10%未満(正確には5~10%未満)だと専門家らはみています。