
文在寅(ムン・ジェイン)新大統領が掲げる経済政策の最大の特徴は、これまでの成長至上主義から抜け出し、低成長基調を現実として受け入れ、そのなかで二極化や失業問題を解決するという考え方です。政府は雇用創出のための補正予算10兆ウォンを編成し、公共部門を中心に81万人の雇用を生み出すとしています。
韓国経済は解決すべき課題が山積しています。アメリカ政府が保護貿易主義を強め、韓米FTA=自由貿易協定の再交渉を求めていることや、アメリカのさらなる利上げなどは、韓国にとってリスク要因です。アメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード」の韓国配備に反発する中国による経済報復措置も、韓国経済の不安要素となっています。こうしたリスクを解消するため、文大統領はアメリカ、日本、ロシアに特使を派遣し、対話の糸口を見出したいとしています。また、通商専門組織を設置するとともに、外交力を強化し、国際舞台で積極的に対応していきたいとしています。
一方で、国内では、雇用の創出、家計負債問題の解決に加え、最近の輸出拡大による景気指標の回復を内需につなげなければならないという課題を抱えています。
国内外に潜むリスク要因を解消し、さらなる飛躍に向けた土台を築いていくことが、新政権に突き付けられた課題と言えそうです。