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論点

司法試験存廃をめぐる論議

2015-12-13

ニュース

司法試験存廃をめぐる論議
法学専門大学院、ロースクールの導入に伴い2017年末に廃止することが決まっていた司法試験について、法務部は3日、2021年まで存続させる姿勢を示し、ロースクールの在学生やロースクール出身の弁護士らが法務部長官の退陣を求めるなどして強く反発しています。
当初、司法試験は2017年末を期して廃止することになっていましたが、法務部は、法学専門大学院制度の見直しが必要だとする世論が拡大しているとして、司法試験の廃止を延期する方針を固めたものです。
法務部のこうした方針は強い反発に直面しました。
全国の25の法学専門大学院に在学している学生らが集団で退学届けを出し、教授らは司法試験の出題を拒否することを決めました。
また、法学専門大学院出身の弁護士の集いである韓国法曹人協会は6日、声明を発表、「司法試験廃止猶予の決定を撤回しなければ、長官の退陣運動を強力に進める」との立場を明らかにしました。
既存の司法試験を存続させれば、新しく導入された法学専門大学院制度の意味が薄れてしまうからです。
反発は予想以上に大きく、法務部は方針発表翌日の4日に、廃止猶予の方針は最終的な決定ではないとする立場を表明しました。
法学専門大学院制度は、2007年7月に国会で成立した法学専門大学院法に基づいて2009年から実施されています。
それ以前は、法学の教育は大学の法学部が中心で、司法試験に合格した人が司法研修院を経て、裁判官、検察官、弁護士になりました。
こうした法曹養成制度は、大学で司法試験対策重視の教育が行われ、学問としての法学教育の荒廃化が進み、大学の法学部が司法試験受験のための予備校になったとの問題が指摘されました。
また、司法研修院については、裁判官や検察官の養成に重点が置かれ、国際化に対応する能力を備えた弁護士を養成するという面では、十分な成果を収められずにいるとの批判が出ていました。
このような問題意識のもとで、法曹養成制度の改革の必要性が台頭し、法学専門大学院が設置されたものです。
現在の法学専門大学院制度は、大学で多様な学問を専攻した人たちが、適性試験を経て法学専門大学院へ入学、3年間の課程を修了することで、弁護士試験の受験資格を得ることができ、弁護士試験に合格した人が弁護士になるという制度です。
ただ、この法学専門大学院制度もいろいろな問題点が指摘されています。
弁護士になるためには法学専門大学院の課程を修了しなければなりませんが、法学専門大学院の授業料は高額で、経済的余裕がない人が法学専門大学院の3年の課程を修了するのは容易ではありません。
経済的に余裕がない人は、能力があっても、弁護士になれないケースも出てくる可能性があるわけです。
法務部が、学歴に関係なく誰もが受験できる司法試験の廃止を延期することにしたのもそのためです。
一角では、日本のような予備試験制度を導入し、予備試験で合格すれば、司法試験の受験資格が得られるようにする代案も出ています。

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