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田栄沢(チョン・ヨンテク)の短編小説「ファスブン」

2018-11-27


小説 「ファスブン」で、家主で語り手となっている「私」は、第三者の目で門の脇の小屋に住んでいるファスブン一家の貧しさとその貧しさがもたらす悲劇を見つめ、語っていきます。作者は当時の苦しい現実について淡々と描き出しながらその中で小さな希望の可能性を見出しているのです。



夫が元から貧しかったわけではないんです。

舅が生きていた時は、

故郷の楊平(ヤンピョン)で三兄弟が裕福に暮らしていました。

名前もみんな縁起が良いんですよ。

長男は長者と書いてジャンジャ、

次男は巨富と書いてゴブ、

あの人が三男でファスブンなんです。


 아범이 본래는 저렇게는 못살지 않았답니다.

 저희 아버지 살았을 때에는 볏백 석이나 하고,

 삼형제가 양평 시골서 남부럽지 않게 살았답니다.

 이름들도 모두 좋지요.

 맏형은 장자요,

 둘째는 거부요,

 아범이 셋짼데 화수분이랍니다.



#インタビュー:文芸評論家 チョン・ソヨンさん

「ファスブン」はいくら使っても入れたものが無くならない不思議な力を持つ壺です。ところが、ファスブン夫婦はその名前とは裏腹にあまりにも貧しい人たちでした。小説「ファスブン」は貧しさの中で没落していく善良な夫婦を描いていますが、作者はその姿を通して悲劇的な人生の中でも人は生き続け、生命は守られていくというメッセージを投げかけているのです。



刃のような風が頬に吹きつける。

頭を垂れて前方を見下ろしていた彼の目に

松の木の下にぼんやりと見える人の形が飛び込んできた。

彼はすぐさま走り寄った。

行ってみると、娘のオクプンとその母親だった。

木の下、雪の上に枝を敷いて

娘を負ぶっていた布をかぶって、

小さな娘をぎゅっと抱きしめたまま

しゃがみ込み、震えている。

ファスブンは駆けよって抱きかかえた。妻は目を開けたが何も話せない。

ファスブンも何も言えなかった。

二人は幼子を間に置き、抱きかかえたまま夜を過ごしたようだ。


칼날 같은 바람이 뺨을 친다.

그는 고개를 숙여 앞을 내려다보다가,

소나무 밑에 희끄무레한 사람의 모양을 보았다.

그것을 곧 달려가 보았다.

가본즉 그것은 옥분과 그의 어머니다.

나무 밑 눈 위에 나뭇가지를 깔고,

어린것 업은 헌 누더기를 쓰고

한 끝으로 어린 것을 꼭 안아가지고

옹크리고 떨고 있다.

화수분은 왁 달려들어 안았다.

어멈은 눈은 떴으나 말은 못한다.

화수분도 말을 못한다.

어린 것을 가운데 두고 그냥 껴안고 밤을 지낸 모양이다.




作家:田栄沢(チョン・ヨンテク)(1894~1968、平安南道平壌生まれ)
 1919年 文芸誌「創造」を通じて短編小説「恵善の死」を発表、文壇にデビュー
 1925年 文芸誌「朝鮮文壇」を通じて短編小説 「ファスブン」を発表
 1963年 大韓民国文化褒章大統領賞受賞など

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