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第526話 アフリカ豚コレラと人参祭りとアイドルの除隊

#アジュンマの井戸端会議 l 2019-10-24

玄海灘に立つ虹

© YONHAP News

韓国ではアフリカ豚コレラの感染がまだ収まらないでいます。この季節は全国各地で特産物などのイベントが多い時期ですが、アフリカ豚コレラの拡散を防ぐため、そうしたイベントが縮小して開催されたり取りやめになっている場合もあります。特に、10月から11月にかけて全国で開かれる高麗人参フェスティバルの開催が相次いで見送られています。


まず10月19日と20日の両日に京畿道坡州(パジュ)市で開催予定だった「坡州開城(パジュケソン)人参祭り」が取りやめになりました。毎年およそ60万人が訪れる大きなイベントです。坡州人参ではなく、坡州開城人参となっているのは、北朝鮮の開城が高麗人参のルーツであり、坡州が非武装地帯に近い都市であるからだと思います。坡州の高麗人参は開城の人参の伝統を受け継いでいると、坡州開城人参祭りのホームページに書いてありました。


ちなみに韓国戦争の勃発で、開城にいた人参農家の人たちが南下してきて、南に人参畑を切り開き、これがいろいろな地域に人参栽培が広がっていった契機になったとされています。とにかくその坡州市の人参祭りは今年は開催が見送られました。坡州は養豚農家5ヶ所でアフリカ豚コレラの感染が確認されています。


また、仁川(インチョン)市の江華(カンファ)郡でも、10月19日と20日の両日に予定されていた「江華高麗人参祭り」の開催が見送られました。近くの都市の坡州や金浦(キムポ)などでアフリカ豚コレラの追加感染が確認されたからです。江華の養豚農家も感染があったのですが、これまでのところ落ち着いています。江華でも、韓国戦争の勃発で南下してきた人たちによって、1953年から本格的に人参が栽培されたといいます。


それに来月開催予定だった利川(イチョン)人参祭りも今年は取りやめとなりました。利川にも養豚農家が多いからです。アフリカ豚コレラに感染した農家はありませんが、全国で防疫作業に力を入れているため、今年は開催しないことにしたということです。ちなみに利川は米どころとして有名ですが、今年で21回目となる「利川米文化祭り」も10月の開催を見送りました。


アフリカ豚コレラの影響を心配しているのは実は養豚農家だけではありません。人気男性グループのBIGBANG(ビッグバン)のメンバー、G-DRAGON(本名:クォン・ジヨン)が10月26日に、同じくメンバーのSOL(本名:トン・ヨンベ)が11月10日に兵役の義務を終えるのを前に、ふたりが服務している軍部隊のある江原(カンウォン)道の鐵原(チョロン)郡が対応に苦慮しています。韓国だけでなく、日本や中国のファンたちが、メンバーの除隊に合わせて鐵原郡を訪れることが予想されるからです。


G-DRAGONのグローバルファン連合によりますと、G-DRAGONが除隊する10月26日に鐵原郡に向かうバスをチャーターしていて、バスに乗るのは2100人余りだということです。45人乗りの観光バスでも47台が必要なことになり、他にも個人的に現場を訪れるファンなどを含めると、部隊前には3000人以上が集まるのではないかと予想されています。SOLの除隊に際しても同じくらいのファンが訪れることが予想されます。二人は鐵原郡でそれぞれ違う部隊に所属しています。


問題は鐵原がアフリカ豚コレラの感染から決して自由でないことにあります。鐵原地域の野生のイノシシから、アフリカ豚コレラのウイルスが相次いで検出されています。農家で飼育されている豚ではなく野生のイノシシからウイルスが検出されていることで、政府は、鐵原など北韓との国境地域を中心にイノシシの捕獲作業を行っているところです。軍部隊と協力して除隊を非公開にするなどの方法を検討していますが、ファンの数が多すぎるので反発を呼ぶことを考えるとそれもままならず、かといって現場を訪れる数千人全員に防疫のための措置をとることもできない状況です。鐵原郡の関係者は「各地域でのイベントも開催が見送られ、大勢の人の移動が制限されている状況で、数千人が軍部隊を訪れるということで困惑している」としたうえで、「軍部隊と協力して、その日前後に近くの道路などの防疫作業をより厳しく行なっていくしかないだろう」と話しています。

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