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3月企画特集「文学の中の女性」朴婉緒(パク・ワンソ)の短編小説「この世で一番重い入歯」

2020-03-17

ⓒ Getty Images Bank

「自首するはずがないよ。

そんな息子が親の言うことを聞くものかね。いっそのこと南に下りてくる時に...」


母さんは最後まで言うことが出来ず涙を拭った。

しかし、私は次の言葉を知っている。

私も同じことを考えていたから。

いっそのこと南に下りてくる時に捕まってしまうか、

撃たれて死んでしまえば....と。


スパイになった兄さんとの再会がもたらす事態が恐ろしく、

また、18坪の小さな家の無事を気遣うあまり、

母さんと私は魔女より残忍な心をもつ人になっていた。


“말이 자수지. 

 그 놈이 이 에미 말을 들을까? 차라리 넘어오다....” 


어머니는 말끝을 흐리고 눈물을 닦았다.

그러나 나는 다음 말을 알고 있다.

나도 방금 그런 생각을 하고 있었으니까.

넘어오다 차라리 잡히거나 총에 맞아 죽었으면 하고....


간첩이 된 오빠와의 만남이 몰고 올 사건이 두려운 나머지

18평 작은 집의 평화로움이 너무 소중한 나머지

어머니와 나는 마녀보다도 더 잔인해졌다.



ヨニの母親は北韓に向かった兄と

そのせいで不利益を被っている夫の間に立たされ、苦しんでいるのです。



口の中には抜いてしまえる入歯もない。

抜いてしまえる入歯がないのでその苦痛は絶望的だ。


私はようやく悟った。

これまでどれだけ巧妙に自らを二重、三重に騙していたかを。


この痛みは入歯から始まったものではないのだ。


ようやく私は自分の苦痛を正直に受け入れた。

しかし、私は決してこの苦痛に正直に呻いたりしないだろう。


精巧で軽い入歯は、今、手の平にあるが、

まだ私はこの世で一番重いもう一つの入歯の重圧感に潰され、

身動きできないでいる。


이미 입속엔 빼버릴 틀니도 없는데.

빼버릴 틀니가 없기에 그 고통은 절망적이다.


나는 비로소 깨닫는다.

여태껏 얼마나 교묘하게 스스로를 이중, 삼중으로 속이고 있었나를.


내 아픔은 결코 틀니에서 비롯된 아픔이 아니었던 것이다.


비로소 나는 내 아픔을 정직하게 받아들였다.

그러나 나는 결코 내 아픔을 정직하게 신음하지는 않을 것이다.


정교하고 가벼운 틀니는 지금 손바닥에 있건만

아직도 나는 이 세상에서 제일 무거운 또하나의 틀니의 중압감 밑에

옴짝달싹 못하고 놓여있다.




作家:朴婉緒(パク・ワンソ)(1931.10.20.~ 2011.1.22.、京畿道生まれ)

デビュー:1970年 小説「裸木」

受賞:2006年 第16回湖巌賞芸術賞

2011年 金冠文化勲章 など

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