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北韓外交官の韓国亡命

2020-10-10

ニュース

ⓒKBS News

一昨年11月から行方が分からなくなっていた北韓のチョ・ソンギル・イタリア駐在大使代理が、韓国に亡命していたことが分かりました。

韓国の国会情報委員会所属の議員によりますと、チョ・ソンギル氏は、去年7月に韓国に入国し、当局が保護しているということです。

2017年9月に北韓が6回目の核実験を行うと、イタリア政府は当時の北韓大使を追放し、その後任としてチョ・ソンギル氏が大使代理を務めていました。

そのチョ・ソンギル氏は、2018年11月に任期が満了して帰国する予定でしたが、帰国直前にローマで、突然姿を消しました。

チョ・ソンギル氏が、イタリア政府保護のもとで第三国への亡命を打診しているのではないかと推定されていましたが、事実関係は確認されませんでした。

チョ・ソンギル氏の亡命先は、その後、確認されていませんでしたが、韓国に亡命していたことが、このほど明らかになったものです。

関係筋によりますと、チョ・ソンギル氏が、身の安全のために韓国に入国した事実を公表しないよう要請したということです。

亡命の動機は明らかになっていませんが、チョ・ソンギル氏は大使代理を務めながら、金正恩国務委員長のぜいたく品の調達に当たっていたという説があります。

北韓外交官の韓国への亡命は、北韓のイギリス駐在公使をしていて、現在は韓国の保守系野党「国民の力」の国会議員になっている太永浩(テ・ヨンホ)氏の韓国亡命の例がありますが、さらに上級の大使級外交官が韓国に亡命したのは、2011年に金正恩体制になってから今回が初めてです。

北韓の外交官の亡命例としては、1997年にエジプト駐在大使とフランス駐在参事官がアメリカに亡命した例があります。

また、北韓のエリート高官の亡命例としては、1997年に黄長燁(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記が韓国に亡命しています。

ファン・ジャンヨプ氏は、北韓の朝鮮労働党の指導指針とされる「主体思想」を作った理論家として知られ、韓国に亡命した最も位(くらい)の高い高官ですが、2010年に亡くなっています。

北韓は脱北者団体によるビラ散布に反発して、6月に開城にある南北共同連絡事務所の建物を爆破しましたし、最近は海上で漂流中の韓国海洋水産部所属の公務員を射殺しており、南北関係は厳しい状況に置かれています。今回大使級の外交官の亡命を韓国が受け入れたことが明らかになったことで、北韓がさらに強く反発してくることが予想されます。

一方で、北韓にいるチョ・ソンギル氏の家族の安否が懸念されています。

チョ・ソンギル氏が韓国にいることが確認されたことから、北韓に強制送還されたとみられるチョ・ソンギル氏の娘が危険にさらされる可能性があります。

また、チョ・ソンギル氏の父と義父も外交官だとされていますが、これらの家族が処罰される可能性も排除できません。

北韓にいるチョ・ソンギル氏の家族の安否が懸念されることもあって、韓国政府はチョ・ソンギル氏の亡命について、公式には言及していません。

チョ・ソンギル氏の韓国への亡命が明らかになったことで、北韓が韓国への批判を強めてくるのは避けられない状況となり、今後の南北関係にも少なくない影響を及ぼすものと予想されています。

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