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第581話 韓ドラ、ラブロマンスへの回帰

#アジュンマの井戸端会議 l 2020-11-10

玄海灘に立つ虹


総合編成チャンネルのOCNで10月17日から放送されている『サーチ』。毎週土曜日と日曜日に放送されている全10話のドラマです。最前方の非武装地帯で起きた失踪と殺人事件、その秘密を明らかにするための最精鋭の捜索隊の姿をを描いたミリタリースリラーという位置づけで、設定そのものは実に硬派です。でも出てくるのです。登場人物同士の恋愛関係が。


こうした硬派のいわゆる「ジャンルもの」でも、韓国ドラマでは、登場人物同士の恋愛関係は必須でした。それが、SBS『ストーブリーグ』、tvN『秘密の森』シリーズ、OCN『ボイス』シリーズなどラブロマンスが出てこないジャンルものが人気を得たことで、「ジャンルものにラブロマンスは要らない」、「ラブロマンスがないほうが洗練されている」という認識がすっかり定着しました。ジャンルものとは、サスペンス、ファンタジー、ミステリー、犯罪を描いた作品のことで、専門職の人たちが出てきて、職業の描写に忠実な場合が多いのですが、せっかく硬派なストーリーが展開されているのにラブシーンが出てくると、作品に集中できなくなる、緊張感がなくなる、というのです。最初から関係中心の家族ドラマやトレンディードラマならいざ知らず、緊迫した捜査の途中でラブシーンが出てくる韓ドラの特徴を言い表したこんなジョークがあるそうです。「アメリカドラマは医師と弁護士と警察が事件を解決し、日本ドラマは医師と弁護士と警察が人生の教訓を悟らせてくれるが、韓国ドラマは医師と弁護士と警察が恋愛している」。


『冬のソナタ』と『チャングムの誓い』以降、ドラマ韓流の勢いが振るわなかったことについて、「恋愛で泣いてばかりのストーリーだから飽きられたのだ」いう意見もありました。しかしいまはそのような批判はほとんどなくなっています。『サーチ』でもそうです。非武装地帯での殺人事件の捜査という超ハードな設定のなかで、ラブロマンスはむしろふっと緊張を緩めることができる、風穴を開けるような役目をするというのです。


ジャンルもののラブロマンスに、なぜ以前とは異なる反応が出ているのでしょうか。その理由について、韓国の恋愛ものがいまアジアを超え、西欧でも好評を博しているからだと、大衆文化評論家のイ・ムンウォンさんは説明しています。『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『サイコだけど大丈夫』、『キム秘書はいったい、なぜ?』などが相次いでヒットを飛ばしていますが、いずれも男女の恋愛がストーリーの中心となっているドラマです。コロナ禍でネットフリックスの視聴が増えたこともありますが、むしろだからこそ、ドラマ韓流の停滞はドラマを流通させる方法に問題があっただけで、恋愛ものはまだまだグローバル市場で通用するのだということを改めて確認した形です。ドラマはグローバル市場をターゲットにしすぎても、井の中の蛙になってもいけない、その中間あたりで差別化を図り、普遍的な共感を得られるようにするのがよいのかと思います。

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