全員日本人の5人組ガールズグループ「UNICODE」
2024-04-17
昔々、
大きな山のふもとに、村の真ん中をきれいな川が流れる美しい村がありました。
上の村と下の村にはそれぞれキム爺さんと呼ばれる二人の老人が住んでいました。
面白いことに、どちらのキム爺さんも左のあごに大きいこぶがありました。
二人のキム爺さんの性格はまったく逆でした。
下の村のキム爺さんは欲深く、気難しい性格なので、誰も近づきたがりませんでした。
一方、上の村のキム爺さんは誰にもやさしかったので、みんなに好かれていました。
ある日、上の村のキム爺さんは山に登って木を切っていました。
歩けば歩くほど、山の奥の方に入っていくような気がしました。
「このままじゃ危ない。夜が明けるまで待った方が良さそうだな...」
山の中で見つけた古い空家に入って休むことにします。
庭には古い縁台も置かれていました。
キム爺さんは縁台に座り、声の調子を整えたかと思うと、大きな声で歌い出しました。
夜の山は恐ろしく、不安だったのです。
歌が終わって目を開けた時、キム爺さんは肝をつぶし、悲鳴をあげました。
縁台の周りに、頭に角が生えたお化け、トッケビたちが
ずらっと並んでいるではありませんか。
トッケビたちは上の村のキム爺さんに歌をもっと聞かせてほしいと頼みました。
「キム爺さんは本当に歌が上手いのう。
もしかして、歌の秘訣はそのこぶにあるんじゃないか?」 「そ、そうです!実はこのこぶが私の歌の秘訣だったんです!」
トッケビが棍棒をこぶのところに持っていくと、
不思議なことに何の痛みもなくこぶがぽろっと取れてしまいました。
夜が明けると、キム爺さんは背負子に宝ものを積み上げて家に帰っていきました。
上の村のキム爺さんの話を聞いた下の村のキム爺さんは
トッケビに会ったという山奥の空家に行ってみました。
夜になると、下の村のキム爺さんは薄目を開けて歌い始めました。
すると、本当にトッケビたちが集まってくるではありませんか。
うれしくなった下の村のキム爺さんがトッケビたちに話しかけました。
「私の歌の秘訣が知りたくなったでしょう?秘訣はこのこぶです。
ほしければ、お代を払って持っていきなされ」
話を聞いていたトッケビが顔を真っ赤にして怒鳴りました。
トッケビたちが上の村のキム爺さんからもらったこぶを首にくっつけて
いくら歌ってみてもまったく上手にならなかったからです。 キム爺さんに騙されたと知り、腹が立っていたトッケビは袋からこぶを取り出しました。
「このこぶが上手な歌の秘訣だと?それなら、もってけ!」
やっかいなこぶを取ろうとした下の村のキム爺さんは二つのこぶをぶら下げて、
泣く泣く山を下りていきました。
そして、恥ずかしくて外にも出られず、人の目を避けて暮らした、とさ。
韓国には「こぶを取ろうとして、余計なこぶをくっつけてくる」ということわざがあります。
下の村のキム爺さんのように「利益に目が眩んで、却って損を被る」という意味なのです。
2024-04-17
2024-04-17
2024-04-03