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ディーゼル車に不可欠な「尿素水」が不足

2021-11-13

ニュース

ⓒYONHAP News

韓国では、ディーゼル車の排ガスを浄化するために必要な「尿素水」の中国からの輸入が滞(とどこお)っていることが原因で、貨物トラックの運行や工場の操業にも支障が出るのではないかと懸念されています。

尿素水は、日本ではAdBlue(アドブルー)という商品名で知られていますが、ディーゼル車や工場の排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するために使われます。

尿素水の供給不足が続けば、最悪の場合、物流や工場の操業がストップする恐れもあります。

尿素水の供給が不足しているのは、中国が尿素水の原料となる尿素の輸出について事前審査を厳しくしたためです。

尿素は化学肥料の原料にもなっていますが、韓国が1~9月までに輸入した尿素の90%以上は中国産でした。

尿素水不足の発端は、中国とアメリカの経済摩擦です。

オーストラリアは、アメリカに追従する形で中国の通信機器メーカー・ファーウェイの製品に強い規制をかけ、中国はこれを受けて、オーストラリアからの石炭、木材、牛肉、ワインなどの輸入を制限しました。

オーストラリアからの石炭輸入を制限したあと、中国の石炭炭鉱がある内陸部で豪雨が発生し、炭鉱が操業を停止、中国は石炭不足に陥り、火力発電所が稼働を停止するなど、電力不足に悩まされることになりました。

中国では、石炭は依然として重要なエネルギー源で、石炭は尿素の原料であるアンモニアの生産にも欠かせません。

石炭不足に陥った中国は、国内市場を優先するために尿素の輸出を事実上制限したため、韓国で尿素水が不足する事態になったわけです。

尿素水価格は最近10倍以上上昇しています。

韓国では、環境対策として、貨物トラック330万台のうち200万台余りが尿素水の利用を義務付けられているほか、路線バス5万台余りのうちおよそ2万台も尿素水の利用を義務付けられているディーゼル車です。

貨物トラックが止まれば、物流への影響は避けられず、鉄鋼、セメント、自動車といった製造業にも支障が出るとみられます。

韓国のGDP伸び率は第1四半期1.7%、第2四半期0.8%、第3四半期0.3%と縮小しています。尿素水不足が続けば、GDP伸び率の回復を期待するのはさらに難しくなる恐れもあります。

幸い、中国政府は最近、韓国企業がすでに契約している尿素水1万8700トンの輸出を認める方針を決めたため、国内の需要の2~3か月分相当を確保できる見通しで、尿素水不足はある程度解消されるものとみられます。しかし、今回の尿素水の供給不足は、重要資源を特定の国に依存するリスクを改めて認識されることとなりました。

韓国政府は、オーストラリアやベトナムなどから尿素水を緊急輸入するなど、輸入の多角化を図ることにしています。

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