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尿素水不足

#マル秘社会面 l 2021-11-10

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

最近韓国で大問題となっている尿素水不足の問題。この聞きなれない尿素水とは何でしょう?

ディーゼル車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx )を浄化するためのもので、環境問題の高まりから尿素水はいまやディーゼル車には欠かせないものとなっています。 もし尿素水がなくなると、ディーゼル車はエンジンがかからなくなったり、停止したりしてしまいます。

ディーゼル車の多い韓国では尿素水不足が物流と交通の大混乱につながると連日報道されています。尿素水を必要としているのは、宅配会社などの運送トラックをはじめ、天然ガスバスを含むバス一般、そして消防車にも使われていると言います。

ではなぜこんな尿素水不足が起きているのか。

ことの発端は中国の輸出規制に始まりました。産業通商資源省によりますと、韓国は今年1~9月時点で原料の尿素の97%を中国からの輸入に依存し、韓国国内ではほとんど製造されていません。 こうした中、中国が10月中旬から輸出手続きを厳格化し、事実上、輸出が制限されてしまいました。その結果、ディーゼル車向けの尿素水が品薄になり、買い占めや価格の高騰が起き国内の在庫は11月末にも底をつくと言われています。

中国の輸出規制が原因だというのに、韓国だけが大騒ぎをしています。なぜでしょう。

理由は日本や欧州では自国内での生産により、供給システムが構築されているからです。日本の場合、尿素水の製造に不可欠なアンモニアの約80%を国内企業が作っています。 残りの約20%は海外から調達していますが、それも中国ではなくオーストラリアやインドネシアからの輸入です。そのため、中国が輸出規制をしても、日本では尿素水をめぐる価格上昇および供給不足といった問題は起きていません。

またディーゼル車が多く、尿素水の需要が高い欧州でも、尿素水供給の中止や「大混乱」は起こっていません。中国に押されて尿素生産業者がなくなってしまった韓国とは違い、欧州連合(EU)域内には尿素生産業者が多く残っているからです。

さらに韓国は他国に比べてディーゼル車の占める割合が極めて高くなっています。国内で運行中の車両約2600万台のうち、ディーゼル車は919万台を占めています。そのうち尿素水を満たしておく必要のある排気ガス低減装置を装着した車は、21%の216万台に達します。一方で米国、中国、日本のディーゼル車の割合は1~3%程度です。

ということで韓国だけが混乱しているのですが、こういう時に韓国では一般の国民が活躍します。

ちょうど金融危機の時に家の中の金を持ち出してきたように、今度は尿素水をそっと寄贈する人が出てきました。消防車が動けなくなったら大変だと、全国の消防署には市民からの尿素水寄付が相次いでいます。

7日午前9時17分ごろ、慶尚南道金海消防署には身元の分からない一人の男性が忽然と現れ、10リットルの尿素水4本を置いていきました。同じように午前8時半と10分頃には、別の男性がやはり尿素水10リットル入り7本を置いていき、金海消防署3カ所の安全センターには、身元不明の男性2人が10リットルの尿素水10本を寄付しました。江原道春川消防署でもセンター前に置かれた箱の中に尿素水3.5リットル入り2箱が入っていました。手紙やメモはなかったといいます。

消防車が動けなくなったり、宅配便が届かなくなったり、田舎道を走るバスのダイヤが運行停止になっては大変です。こんな混乱が年末までに起きない事を国民は祈るしかありません。何とかするのは政府の仕事です。

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