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第653話 済州(チェジュ)の方言が話題

#アジュンマの井戸端会議 l 2022-05-03

玄海灘に立つ虹


tvNドラマ『私たちのブルース』が話題をさらっています。

数々の名作を生みだした脚本家ノ・ヒギョンさんが4年ぶりに手掛けたドラマで、済州島を舞台に、島で生きる人たちの様々な人間模様をオムニバス形式で描いています。14人の主人公が8つのストーリーを展開する予定で、全20話の構成です。イ・ビョンホン(ドラマ『ミスター・サンシャイン』、映画『KCIA 南山の部長たち』)、シン・ミナ(ドラマ『海街チャチャチャ』)、ハン・ジミン(ドラマ『ある春の夜に』)、キム・ウビン(ドラマ『相続者たち』)、チャ・スンウォン(ドラマ『花遊記』)、イ・ジョンウン(映画『パラサイト~半地下の家族~』)などなど、キャストの豪華さも話題のひとつですが、何より済州島が舞台となっているだけに、済州の方言がメイン言語であることも大いに話題になっています。言語というとまるで外国語のようですが、あながち言い過ぎでもありません。済州の方言は住民でなければ聞いただけでは意味が全く分からないほど、標準語とは異なるからです。


Apple TV+のオリジナルドラマ『パチンコ』にも済州の方言が満載です。パチンコは、生きていくため、そして豊かな暮らしを求めて祖国を離れた韓国人一家、その夢と希望の道のりを4世代にわたり描いた壮大な物語で、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーとなった小説が原作になっています(Apple TV+のホームページから抜粋)。その韓国人一家として済州出身の父親と息子がいて、済州の方言が使われています。この親子は実は原作の小説には出てこないのですが、ドラマではこの親子のストーリーがかなりの割合を占めています。それは原作者のイ・ミンジンさんと監督兼プロデューサーを務めたスー・ヒュー(Soo Hugh)さんの、すたれていく済州島の方言を残したいという思いが強かったことが背景にあったということです。


済州の方言は済州島内でもだんだん使われなくなってきています。韓国語の標準語の教育が行われるようになっていることで、若い世代を中心に方言の使用が急激に減っているからです。ユネスコは、2010年12月、済州の方言を消滅危機言語のレベルのうち上から2番目の「極めて深刻」なレベルに分類しています。済州道ではすたれていく方言を守るため様々な努力を行っています。第4次済州語発展基本計画(2023~2027年)をまとめ、多様な事業を行っていくことにしている他、国立国語院とも協力し、方言についての音声や写真、映像などのデータを集め、デジタル展示館として構築していく計画です。


『パチンコ』もそうですが、『私たちのブルース』もグローバルなOTT(ネットフリックス)サービスで観ることができます。海外では字幕でご覧になることになりますが、済州の方言が多用されているため韓国国内で観る場合も字幕がついていて、視聴者はある意味「不便」を強いられることになります。その点を知らないはずのない制作者サイドがあえて字幕を付けてまで済州の方言をそのまま使っているのは、済州の方言だけが持つ、朴訥でぶっきらぼうなところ、でもそこから感じられる人間味が、作品の雰囲気を支配しているからではないかと分析されています。


済州の方言が標準語とはだいぶ異なる点について、済州大学国語国文科の名誉教授、カン・ヨンボンさんは、「島という地理的な特性によって古代、中世の韓国語の原形をとどめており、独自に豊かに発達したことによる」と分析しています。

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