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ソウルウリソリ(郷土民謡)博物館

#ソウル・暮らしのおと l 2024-05-17

金曜ステーション

ⓒ KBS WORLD Radio
韓国では5月2日から31日まで、「ミュージアムウィーク」が開かれました。毎年5月18日の「国際博物館の日」を記念し、全国各地の博物館や美術館でさまざまなプログラムが展開されるウィークです。これを機に私も、いにしえの文化の町・鍾路区を訪ねて博物館めぐりをしてみました。今日はそのうちの一つの「ソウルウリソリ博物館」をご紹介します。

「ウリソリ」とは、郷土民謡のことで、古くからの韓半島の人々の暮らしに根付いた唄をいいます。民謡はもともと、声や音という意味の「ソリ」、または遊びという意味の「ノリ」から発生した「ノレ」と呼ばれてきました。つまり郷土民謡というのは、人々の声や音と同じように自然に生活のなかに溶け込んできたということです。農民はつらい農作業のなかで、漁師は海で大漁を願って、女性たちは子どもをあやしたり洗濯をしたりしながら、口伝えにうたい継がれてきた唄。それがウリソリ、郷土民謡というものです。

このウリソリ博物館は、ソウル市が収集した2万曲の郷土民謡などが所蔵されています。これらを観覧客が気軽に聞けるように、さまざまな工夫が凝らされています。

まず建物がとても素敵なんです。韓屋(한옥)風につくられた平屋のこじんまりした家の形。一見、博物館には見えませんが、 向かい側にある故宮の昌徳宮と調和をなして、いいムード。入り口から入ると、1階はあたたかみのある木造の内装になっています。明るく広々とした音楽鑑賞コーナーには、靴をぬいで上がる床張りのスペースがあって、ここでゆっくり音を鑑賞できます。

ⓒ KBS WORLD Radio
地下1階に下りると、常設展示室があります。音の博物館というと、ヘッドフォンが並んでいるだけかと思いきや、いろんな技術が駆使されていて、見どころ充分。まず大きなスクリーンが出迎えてくれるのですが、そこには朝鮮時代の風俗画家として有名な金弘道(キムホンド)の絵が映し出されています。庶民たちの素朴な生活風景がスクリーン上で一つひとつ動きだし、そこに民謡が重ねられます。まるで、当時の庶民たちが村のあちこちで唄いながら生き生きと働くようすを実際に見ているような気分になります。

常設展はセクションごとに労働、遊び、そして葬礼など、それぞれのシーンで唄われた民謡を紹介しています。手に取ったスピーカーを耳にあててみると、 生まれて一番初めに耳にする唄、子守り唄が聴こえてきました。メロディのある曲というよりは、抑揚をつけて繰り返す独り言のような、素朴な唄です。また別のセクションでは、壁の絵にタッチすると、人々の姿が浮かび上がって動きだします。そこへ、稲の苗を植えたり、牛を引いたりしながら唄う声が朗々と流れてきます。

郷土民謡はもちろん地域によって方言や音の高さが違い、非常に豊かなバリエーションがあります。歌の内容も、暮らしのなかで大変な労働をこなすために自分を励ましたり、仲間と呼吸を合わせるために掛け声を加えたり、または自分の身の上話を語ったりなど、情感がこもっています。また、葬儀での民謡は、慟哭するような声も交えながら唄い、悲しみを発散させることで残された人の心を癒やし、魂を見送るという、大切な役割を果たしていました。
こうして情景と共に一つひとつ音を聴いていくと、郷土民謡というものが、韓国の人々の暮らしにいかに深くしみ込んでいたのかを実感できました。なぜこれを「ウリソリ、私たちの声・音」と呼ぶのかも、非常によくわかる気がします。

ⓒ KBS WORLD Radio
ちなみに、アリランをはじめ今でも聴けるほとんどの民謡は「通俗民謡」といって、こうした各地の郷土民謡を元に、専門の歌い手が旋律をつけて歌うようになり、広まった民謡です。通俗民謡が広がるとともに、郷土民謡はだんだん廃れていったそうです。そうして消えてゆくウリソリを集めて現代の人が気軽に触れられるように展示したのが、このウリソリ博物館です。そういう意味でも、とてもユニークで大切な役割を担っている博物館といえるでしょう。

ソウルウリソリ博物館は、地下鉄3号線安国駅から徒歩5分の、ユルゴク路の道路沿いにあります。近くに昌徳宮や宗廟など、文化遺産がたくさんあるので、観光で訪れた際にはぜひ一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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