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名医の殉職

#マル秘社会面 l 2019-02-13

玄海灘に立つ虹

© KBS

韓国で名医と呼ばれるような優れた医師が職場で亡くなる事故が相次いでいます。

旧正月連休の真ん中4日の晩、国立中央医療院中央救急医療センターのユン・ハンドクセンター長が病院の事務室で過労による心臓麻痺で亡くなっているのが見つかりました。連休前日の1日から帰宅せず、連絡もつかないので不審に思った家族が病院に来て、事務室の椅子に座ったまま死亡しているセンター長をみつけたものです。

ユンセンター長は韓国の救急医療体系改善の先頭に立っていた人物でした。2002年国立中央医療院に救急医療センターが設けられて以来、救急医療体系の構築に携わり、ドクターヘリの導入、災難・救急医療状況室の運営にも努力しました。そして毎日、何百人という救急患者を診ていました。病院の同僚は

「ユンセンター長は家には一週間に一度しか帰宅せずに、病院内の自分の事務室に簡易ベットを持ち込み、そこで寝泊りしていました」

と語ります。そのため事務室には一晩中電気がついていることが多く、亡くなった夜にも警備の人はまた徹夜で仕事をしているのだと思い、のぞいてみることもしなかったということです。

旧正月のように他の病院が閉まる連休中、国立中央医療院など全国の救急医療センターには普段よりもさらに多い患者が集まるといいます。最近、職場で診療中に亡くなり話題になった医師がもう一人います。

去年の年末、31日の日にソウルの江北三星病院神経精神科で30歳の男性が隠し持っていた凶器で診療にあたっていたイム・セウォン教授の胸を10数回にわたって刺し死亡させたものです。イム教授は診療室内で最初の攻撃を加えられましたが、部屋から逃げ出し看護婦や他の患者に避難するように指示する途中で絶命したものです。

イム教授も20年間にわたり精神疾患患者と向き合い、診療水準の向上に努力してきた人物です。2011年に開発された韓国型標準自殺予防教育プログラムを作るのに貢献し、2016年には自分のうつ病克服について書いた本「死にたい人間はいない」を出版、患者との距離を縮めようと努めてきました。

韓国の医療界は最近、今回のイム教授のような患者やその家族の暴力による事故が相次いでおり、大きな社会問題となっています。

名医と呼ばれる人には長生きして、一人でも多くの患者を診てもらいたいのに、50代の働き盛りに職場でまさに殉職してしまいました。本当に残念です。日本も韓国も医療界、特に救急医療や精神医療の現場の環境は厳しいものがあると思います。医師だけではなく、看護師や臨床師をはじめとするすべての医療関係者の皆さん、日々ありがとうございます。

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