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エッセイ「どこにいても、私は私らしく」

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2021-02-19

玄海灘に立つ虹


〇いつもリスナーの皆さんのメッセージに励まされています。ありがとうございます。私への質問もあったので、お答えしたいと思います。正木広行さん、韓国記者協会のウェブサイトで私が書いたコラムをお読みいただいたそうで、寄稿の経緯をお尋ねでしたが、中央日報の連載がきっかけでした。中央日報で3年半くらいコラムを連載していて、その連載読者の方が推薦してくれました。記者協会のコラムなので、日本と比較して韓国の報道について執筆しませんかということで、2ヶ月に1回のペースで書くことになりました。また次は3月の予定なのでお読みいただけるとうれしいです。


〇さて、本日ご紹介するのは、エッセイ「どこにいても、私は私らしく(어디에 있든 나는 나답게)」です。実はこれは私が昨年8月に韓国で出した本で、いま日本での出版に向けて逆に日本語に訳す作業を進めています。先ほどお話しした中央日報の連載に加筆した本で、基本的には日本人が韓国で暮らしてみて感じた日韓の違い、韓国に暮らしながら改めて考える日本、という内容になっています。


〇韓国で特に反響が大きかったのは、日本のドラマ「孤独のグルメ」について書いた回だったんですが、このドラマ、日本ではそこまで視聴率が高いわけではないんですが、韓国ではとっても人気なんですね。ドラマと言っても、松重豊さん演じる井之頭五郎が、一人でお店に入って食べるという、ストーリーは大してないけども、実際にある店なのでグルメ番組のようなドラマです。韓国では日本の食に対する関心が高く、特に不買運動の前までは日本に旅行にいく人がすごく多くて、「孤独のグルメ」に出てくる店をめぐってブログにアップする人もたくさんいました。

あと、実際に店に行かなくても、松重さんの食べっぷりが見ていて気持ちいいという人も多い。一つは韓国は最近は一人で外食する人も増えてきましたが、少し前までは一人で食べにくい周りの目線があって、堂々と一人で外食を楽しむ松重さんの姿が受けたのかなと思います。

こんな風に日韓を比較しながら気付いた内容を書いています。


〇本の帯には「서로의 다름을 알고 차이를 즐길 수 있는 우리가 됐으면 좋겠습니다(互いの違いを知って、違いを楽しめる私たちになればうれしいです)」と書いてるんですが、これは実は母の言葉がもとになっていて、小学生の時に「彩は違いを楽しむ人になってほしい」と言われたのが響いています。違うことは、これは日韓に限らず、夫婦でも、友達でもそうですが「合わない」というネガティブな受け止めをすることも多いと思うんです。でも、ちょっと見方を変えれば、違うこと自体がおもしろかったり、なんで違うんだろうと考えると新しい発見があったり。もし世界が自分と同じ考えの人ばっかりだったら、それは生きる意味があるだろうかって思うんですね。

いま日本で韓国ドラマが人気ですけど、なんで韓国ではこうなの?という質問を本当にたくさん受けるようになって、違うということはやっぱりおもしろいし、相手を知るうえでとても大事なことだなって実感しています。


〇私自身について、これまで1年以上出演しながらあまり詳しく自己紹介する機会はなかったんですけど、大学生時代に2年間韓国に留学して、その時に韓国映画にはまって、だけどもそれは趣味でいいと思って朝日新聞で9年間記者として勤めたんですが、文化部で韓国映画の取材もしながら、やっぱりちゃんと韓国映画について勉強してみたいと思って退社して韓国へ3度目の留学をしたんですね。今は学びながらこうやってラジオで韓国の映画や本を紹介したり、メインは記事として文章で紹介することが多いですが、収入はもちろん大幅に減りましたけども、いい作品を多くの人とシェアしたいというシンプルな希望がかなって自分としては今にとても満足しています。この本にも映画にまつわる話がたくさん出てきます。


〇けっこう日本でも韓国語で読める方々に読んでもらっていて、読みやすいという感想をもらうんですが、それは私が韓国語ネイティブではないので難しく書きようがないというのもあります。でもちゃんと中央日報や出版社のプロたちの校正を経た文章なので韓国語として正しいはずなので、韓国語で本を読んでみたいという方々にも自分で勧めるのもなんですが、ぜひ読んでみてほしいなと思います。

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