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第596話 映画『ミナリ』

#アジュンマの井戸端会議 l 2021-03-02

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

第78回ゴールデングローブ賞の受賞結果が韓国時間の3月1日に発表され、映画『ミナリ』 (原題:Minari)が外国語映画賞を受賞しました。

監督は韓国系アメリカ人、主な出演者は韓国系か韓国の俳優で、韓国系の移民家庭がアメリカに根を下ろしていく過程が描かれているため、セリフの半分以上が韓国語です。去年開催された第36回サンダンス映画祭でグランプリと観客賞を受賞したほか、祖母・スンジャを演じたユン・ヨジョンが海外の多くの映画祭で助演女優賞を受賞していることでも、韓国で早くから注目されていた作品です。 


『ミナリ』は、1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身の移民一家がたくましく生きる姿を描いた家族映画です。移民一家の父親は、農業での成功を夢見てアメリカ南部のアーカンソー州に広大な土地を買うものの現実は厳しく、一家は思わぬ事態に見舞われます。


そんな父親・ジェイコブを演じたのは、『バーニング 劇場版』やNetflixオリジナルドラマ『ウォーキング・デッド』に出演したスティーヴン・ユァン。母モニカを『海にかかる霧』のハン・イェリが演じました。監督と脚本はリー・アイザック・チョンが手がけました。チョン監督は、『君の名は。』のハリウッド実写版の監督でもあります。2017年にアカデミー賞作品賞を受賞した『ムーンライト』などを制作したA24と、俳優のブラッド・ピットが率いる制作会社プランBがタッグを組んだ、れっきとしたアメリカ映画ですが、ゴールデングローブ賞には、セリフの50%以上が英語でない場合、外国語映画に分類するというルールがあり、外国語映画賞の受賞となりました。この点についてはアメリカ現地でも議論があり、ニューヨークタイムズ紙は、「ミナリはアメリカンドリームを夢見る移民家庭を描いた映画で、アメリカ人の監督が演出しアメリカで撮影しアメリカの会社が投資して作ったアメリカの映画であるのに、外国語映画賞にノミネートされている」と指摘しています。


映画のタイトルの「ミナリ」は、韓国の芹のことです。映画の中で、スンジャが歌う歌の歌詞が、タイトルの意味と映画のテーマを表現していると言えそうです。「ミナリはどこに植えてもよく育つんだよ。富める人も貧しい人も誰もが引っこ抜いて食べることができる。ワンダフル ミナリ。ワンダフル!」スンジャはアメリカにやってくるとき、ミナリの種を持ってきます。家族という名で根付いた種は、苦難と逆境の中でも前に進んでいく力と知恵を与えてくれます。映画には、生きるために、あるいは大切な何かを守るために希望をかける人たちに向けたメッセージが盛り込まれていると分析した記事もありました。


ゴールデングローブ賞はオスカーの前哨戦とも呼ばれています。そのため、前回のゴールデングローブ賞で外国語映画賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』が、去年アメリカアカデミー賞授賞式で作品賞など4冠に輝いたことから、『ミナリ』のオスカー受賞にも注目が集まっています。韓国での公開は3月3日、日本では3月19日に公開されます。

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