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第621話 ドラマ『D.P.』について

#アジュンマの井戸端会議 l 2021-09-07

玄海灘に立つ虹

ⓒ Netflix

ネットフリックスオリジナルの韓国ドラマ『D.P.』(邦題『D.P.-脱走兵追跡官-』。全6話)が大きな反響を呼んでいます。


D.P.とは、韓国陸軍憲兵隊の軍離脱逮捕組、Deserter Persuitの略で、ドラマでは、脱走兵を追跡する彼らの様子が描かれています。憲兵隊の二等兵、アン・ジュノ(チョン・ヘイン演)とハン・ホヨル上等兵(ク・ギョファン演)がバディを組んで活動をするのですが、脱走兵たちは軍部隊での暴力など過酷な行為や不条理に耐えられずに脱走を強行するなど、それぞれに事情を抱えています。ネットフリックスで8月27日に公開されたばかりですが、特に20代など若者たちの間で大きな話題となっています。


話題になっているのは、ドラマのリアル感に資するところが大きいといえます。実際に兵役を終えた男性たちだけでなく、まだ兵役に就いていない男性や、女性にとっても、未知の領域に当たる軍隊が素材になっているだけに、好奇心をそそられるようです。


このドラマでの暴力などの描写については、国防部が公式の立場を示しているのも目を引きます。ドラマは2014年から2015年にかけて描かれたウェブトゥーン(ウェブ漫画)が原作(原作者:キム・ボトン、原題『D.P. 犬の日』)で、2014年の憲兵隊を舞台にしていますが、国防部では、「これまで国防部と各軍では、暴力などの過酷な行為を根絶やしにするため、兵営の刷新に向け努力してきた」とした上で、「日課後の携帯電話の使用などにより、不祥事が隠蔽されえない環境に変わってきている」と述べました。


国防部によりますと、去年、陸、海、空郡と海兵隊などすべての軍で、脱走件数は55件あったということです。その前の年(2019年)は78件でした。国防部は脱走兵が減ったのは、そのコメントのとおり、部隊内での携帯電話の使用が認められたことと関係があるとみています。ちなみにすべての軍部隊では、2020年7月から、兵士たちの携帯電話の使用が認められています。使用時間は平日の夕方(午後6時から10時まで)と休日や週末のほぼ終日(午前7時から午後10時まで)です。


ドラマが話題になっていることで、出演する俳優たちが軍服を着ていることについて、違法ではないかという声も上がっています。軍服と軍用装具の取り締まりに関する法律では「軍人でない者が軍服を着用したり軍用装具を使用あるいは携帯してはならない」(第9条)と規定されており、これに違反した場合、10万ウォン以下の罰金刑などに処される他、軍服を製造、販売した場合は1年以下の懲役か1千万ウォン以下の罰金刑となるということです。したがって、ドラマの制作サイドで軍の許可を得ずに俳優たちの軍服をつくって着せているのなら、違反ではないのかという意見です。しかし、この法律では、「文化・芸術活動に使われる場合は例外とする」という条項も設けているので、「問題ない」と、国防部は明らかにしています。


一方、来年の大統領選挙に向け公認候補を選ぶ党内選挙が与野党で行われている中で、党内選挙に臨んでいる人たちが、与野党を問わずこのドラマに言及しています。ドラマがどれだけ(特に若者たちの)話題になっているか垣間見ることができます。

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