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「疑い」ほか

#国楽の世界へ l 2022-01-10

国楽の世界へ

「疑い」ほか

伝統芸能パンソリ「フンボの歌」で、貧しいフンボは飢えた子供たちのために穀物を探しに出かけました。結局、穀物を手に入れることはできず、ある罪人の代わりに鞭に打たれるとお金をもらえるというお話をききます。その過程で命を落とすこともあるということですが、そんな心配よりは子供たちに何か食べさせたいという気持ちが先立ちます。そうすることにして先にお金を手に入れたとき、フンボは「お金のタリョン、ドンタリョン」という歌を歌います。喜びのあまり興奮してしまい、この歌が出てきたのです。また、パンソリ「春香(チュンヒャン)の歌」にも、「ドンタリョン」が出てきます。芸者妓生の娘の春香は、科挙に合格した恋人のイ・モンリョンとしばらく離れていました。その間、新しく赴任した地方官が春香のことを連れてくるようにと兵卒を送ります。地方官の前で妓生のようにふるまいたくなかった春香は、兵卒にお金を渡し目先の危機を乗り越えます。お金を受け取った兵卒は、「ドンタリョン」を歌いました。春香にとってそのお金は、自分を守り、恋人との約束を守る手段だったのです。今日の最初は、「ドンタリョン」を再構成した歌です。イナルチの歌で、「疑い、의심」という曲をお楽しみください。


どんなに偉い人でも、お金のために卑屈になることがあります。また、お金さえあれば偉そうに見えることもあるでしょう。音楽にもお金を欲しがる人物が登場します。「フンボの歌」は、意地悪でお金持ちの兄ノルボと、善人で貧しい弟フンボのストーリーです。お話の中で、貧しいフンボはツバメの脚を治してあげたおかげで、大金持ちになります。それを見た兄のノルボは、ツバメを見つけに出かけます。欲深いノルボには、全てのものがツバメに見えたようです。ノルボは、フンボの部屋の中で花模様のタンス、「ファチョジャン」を見つけました。そのタンスの中には宝物がぎっしりと詰まっています。ノルボはタンスを背負って家に向かいました。ところが、「ファチョジャン」というタンスの名前を忘れてしまったのです。最初から宝物に関心があっただけで、タンスの名前などには関心がなかったのかもしれません。ノルボはタンスの名前を思い出せず、独りでグズグズ文句を言っています。今度は、このような内容の「ファチョジャン」という曲を、トリスの歌でお楽しみください。


朝鮮時代には、自分の地位を隠して密かに地方を回る勅使、「アムヘンオサ」がいました。パンソリ「春香の歌」では、科挙に合格したイ・モンリョンが、この勅使となってナムウォンを訪れる内容があります。ナムウォンでは、地方官の誕生を祝う宴会が開かれていました。イ・モンリョンは身分を隠して宴会に参加し、民から取り立てたお金で遊び暮らす悪者の地方官を捕まえます。今日の最後は、この場面「オサが現れる場面、어사출도」という曲を、ペク・ヒョンホさんの歌でお楽しみください。地方官は、春香が自分の言うことを聞かないので、どう処分しようかと迷っていたところでした。でも、イ・モンリョンに捕まってしまい、色々な言い訳を並べたことでしょう。先ほどの曲は、彼の言い訳を歌にして構成したものでした。

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