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「スシムガ」ほか

#国楽の世界へ l 2022-07-25

国楽の世界へ

「スシムガ」ほか

韓国の民謡は、地域ごとに独特な拍子と歌い方があります。地域ごとの特徴を、「トリ」といいます。ソウル地方の歌は「キョントリ」、南道(ナンド)地方の歌は「ユッジャベギトリ」、江原道(カンウォンド)地方の歌は「メナリトリ」、平安道(ピョンアンド)」と「黄平道(ファンヘド)」地方を指す西道(ソド)地方の歌は「スシムガトリ」と言います。「スシムガ」は、平安道地域の歌です。一定の拍子がなく、ゆっくりで哀切な曲調に、特有の鼻声で、まるで、はたくように歌うのが特徴です。仮に夢の中で人が通り過ぎた足跡が残るとしたら、私があなたに会うために行ったり来たりしたので、門の前の石道が砂になったことでしょう、という意味の歌詞です。朝鮮時代後期、詩人イ・オクボンさんが作った漢詩を歌にした曲です。イ・オクボンさんは、悔しく獄中生活をすることになった民を助けてあげたことがあります。ところが、彼女の夫は、女性が家の外で起こったことに関与したとして、彼女を実家に送り、二度と会わなかったそうです。そのとき、夫を恋しく想い、先ほどの詩を作ったのです。今日の最初は、オ・ボクニョさん他の歌で、「スシムガ」という曲をお楽しみください。


西道の民謡は、北韓にあるテドンガンという川の水をたくさん飲んだ者こそがうまく歌えると言われます。その地域で生まれ育ってこそ、その音楽をうまく表現できるという意味です。しかし、今ではテドンガンに行ったとしても、西道の音楽は聴けません。北韓は、南北が分断してから、新しい発声法を開発したからです。当時は伝統芸能パンソリや、演劇をしながらパンソリを歌うチャングクが人気がありました。北韓にもそのような歌い方をする南道出身の芸人がいました。ところが、最高統治者であったキム・イルソンは、パンソリの歌い方が嫌いだったといいます。一般の人がついて歌うのが難しいというのもひとつの理由でした。西道の音楽特有の鼻声は、鈴を転がすように変えて歌うよう求められました。その結果、清く、軽い歌い方、「ミンソン」ができたのです。高く清い声が特徴です。それでは、北韓のミンソンで、もともと「スシムガ」の後に歌っていた「スシムガの組み合わせ、엮음 수심가」という曲を、ソン・ミョンファさんの歌でお楽しみください。


先ほどの「スシムガ」とは全く違う感じがする曲です。北韓は、歌だけでなく伝統の楽器も改良しました。ヘグムという楽器は、小ヘグム、中ヘグム、大ヘグムなど、色んな種類があります。弦も2つから4つに増やし、弦を手で押さえて力具合で音程を調整する代わりに、板に付けて指で押して演奏します。形はヘグムと似ていますが、音色はバイオリンやチェロと似ています。テグムもチョンゴンという穴をなくし、フルートのような音を出します。また、指で穴を抑える代わりに、キーを押して音を出します。コムンゴはほとんど演奏せず、新しい楽器を作って使用しています。このように色んな変化がありましたが、共通点もあります。音を震わせるノンヒョンという技法を重視するとか、民族を代表する歌が「アリラン」であることなどです。今日の最後は、北韓国立郷楽団の演奏で、「本調アリランをテーマにした幻想曲、본조아리랑을주제로 한 환상곡」という曲をお楽しみください。2008年、ニューヨークのフィルハーモニック・オーケストラが平壌(ピョンヤン)で公演をしたときもこの曲を演奏しました。今日は、改良した国楽の楽器と西洋の楽器を共に編成した曲をお聴きいただきました。

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