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「春の詞」ほか

#国楽の世界へ l 2023-03-14

国楽の世界へ

「春の詞」ほか

朝鮮時代、世宗(セジョン)の時代の高官だったメン・サソン先生は、清廉潔白なことで知られます。手車の代わりに、農夫と同じ牛に乗って移動していたそうです。音楽にも関心が高く、朝鮮時代初め、音楽を整備する上で大きな役割をしました。家で時間を過ごすときは、笛ピリを吹くことが好きだったといいます。先生が作った定型詩、時調(シジョ)に、江と湖の四季を歌う、「江湖四時歌(カンホサシガ)」というものがあります。江と湖に春が漂うと興が湧き、川辺でマッコリを飲むときは新鮮なお魚がおつまみにぴったりだという内容の詩です。そして、自分がこうやって余裕を楽しめるのは、やはり王様のおかげだと歌います。


3月21日、来週の火曜日は、昼と夜の長さがほぼ等しくなるという春分の日です。寒いのは春分の日までで、暑いのも秋分の日までだという言葉があります。春分の日の頃になると、寒さは和らぎ、本格的に春が始まります。そして、人々も本格的に活動を始めます。冬の間凍っていた壁は、気温が上がると崩れてしまうことがあります。これを直すことから始め、種まきの前に畑も耕さなければなりません。仕事を始める前に、一緒に働く作男を集め、お餅を作って分けて食べたといいます。今年の農作もよろしく、という意味だったようです。このときのお餅を、作男のお餅、モスムトックと言いました。本格的に一年を始めるタイミングで食べるお餅なので、歳のお餅、ナイトックとも言います。また、天気が良いので、花見も欠かせません。野原に出てツツジの花を摘み取り、お花のチヂミ、ファジョンを作って食べることもありました。これを、お花のチヂミの遊び、ファジョンノリといいます。今度は、「ソンソリサンタリョン」という曲の中で、今から楽しんでみようという意味の「ノルリャン」という曲を、春のお出かけの歌に編曲した音楽です。


宋の詩人、載益という人の詩に、「春を探る、探春」というものがあります。一日中春を探し歩いたけれど春は見つからず、さまよってばかりいたが、家に帰ると、梅の枝から春が感じられたという内容の詩です。春はいつ訪れてくるのか、お花はいつ咲くのかと捜し歩いたけれど、いつの間にか春が自分の家の庭の中に訪ねてきていたということです。春が訪れてきたものの春がすぐに過ぎてしまい、残念に思う方もいらっしゃるでしょう。温暖化の影響なのか、春が短くなる傾向があり、最近は冬の次は夏だという言葉もあるほどです。春が過ぎる前に、思う存分楽しみたいものです。

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