全員日本人の5人組ガールズグループ「UNICODE」
2024-04-17
「おお、万波息笛(マンパシクチョク)の音じゃ」
「万波息笛を吹いたなら、もう心配ない。ありがたや、ありがたや」
遠い昔、統一新羅時代、国に憂いがある時に吹いたと伝えられる横笛がありました。
「万波息笛(マンパシクチョク)」、「万の波を眠らせる笛」という意味です。
万波息笛は新羅王朝31代目の王、神文(シンムン)王の父親、
文武(ムンム)王のお話でもあります。
文武(ムンム)王は、高句麗、百済、新羅の三国に分かれていた韓半島を統一しました。
さまざまな難関を乗り越えて統一を成し遂げた文武(ムンム)王は そんな国がいつまでも平和で安全であるよう願いました。
そして、口癖のように死んだ後も東海の竜となって敵から国を守ろうと話しました。
「私が死んだら、東海に浮かぶ岩の島に池を作って、そこに葬っておくれ。
そこで私は海を渡って侵略してくる敵から新羅を守るのだ」
文武(ムンム)王の後を継いで王位に就いた神文(シンムン)王が父親の遺言に従いました。
平和な日々が続いていたある日のことです。
東海に小さな山が現われ、波に乗って動いていました。
兵士たちがいかだに乗って海に浮かんでいる山へ向かいます。
山のてっぺんには真っ二つに裂けている一本の竹が生えていました。
ところが、昼間見た時は確かに二つに裂けていたのが、
日が暮れると一つに合わさったように見えました。
海岸に戻ってきた兵士たちは神文(シンムン)王に竹について知らせました。
神文(シンムン)王は兵士たちを率いて海に浮かんでいる山へ向かいます。
その時、海から大きな一頭の黒い竜が姿を現わし、こう言いました。
「これはとても神聖な竹で、夜になると一つになります。
その時、竹を切って楽器を作ってください」
王宮に戻った神文(シンムン)王は一番腕の良い楽器職人を呼んで、命じました。
「この竹は、先王、文武(ムンム)王が新羅を守るために送ってくださった神聖な竹だ。
これで楽器を作りなさい」
そんなある日のことです。
平和だった新羅に海を越えて敵が攻めてきました。
新羅を守る方法を思い悩んでいた神文(シンムン)王は、
竜が伝えてくれた神聖な竹で作った楽器を思い浮かべました。
「そうだ。あの横笛を吹かせよう」
楽士が横笛を吹き始めた時、奇跡のようなことが起こりました。
笛の音が聞こえた時、おそろしい勢いで攻めてきた敵が何かに怯えたように逃げ出したのです。
その後、この横笛は万波息笛(マンパシクチョク)と呼ばれるようになりました。
国に災いが起きた時に吹くと、平安をもたらすと伝えられる万波息笛(マンパシクチョク)。
神文(シンムン)王がこの万波息笛(マンパシクチョク)を得ることになったお話は、
高句麗、百済、新羅三国の歴史を記録した「三国史記」と
三国に伝わる珍しい話や伝承を記録した歴史書「三国遺事」によって今に伝わっています。
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