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経済

ポストコロナを見据えた米中の経済戦略と韓国に求められる対応

#今週の経済の焦点 l 2021-03-15

ⓒ Getty Images Bank

中国では5日、国会に当たる全国人民代表大会が開かれ、今年のGDP=国内総生産の成長率目標を市場の予想より低い「6%以上」に設定することが発表されました。新型コロナによる世界経済の停滞、対立が続くアメリカとの関係などのリスクを考慮したためとみられます。また、アメリカとの対立の長期化など内外に多くの課題を抱えるなか、成長の速度よりも質を重視する新たな発展モデルへの転換を目指す姿勢が強く示されました。

中国は、アメリカを刺激することをなるべく避けながらも、AI=人工知能やバイオなど最先端科学技術分野に重点投資する計画を発表しました。アメリカが次世代産業のグローバルサプライチェーンから中国を排除する動きを強めるなか、中国は、技術発展によってこれに対抗し、影響力拡大を図っていく意志を示したものと受け止められています。

一方のアメリカでは11日、新型コロナウイルスの危機に対応するため1兆9000億ドル、およそ200兆円規模の追加経済対策法が成立しました。景気刺激策には、1人当たり最大1400ドルの現金を支給する内容が盛り込まれています。アメリカは、大胆な景気テコ入れにより、低迷する国内景気の回復をはかる一方で、対外的には日本、インド、オーストラリアとの協力関係である「クワッド(Quad)=日米豪印戦略対話」の役割を拡大させようとしています。「クワッド」は、中国の軍事・経済的影響力拡大に対抗する枠組みです。12日には初の首脳会議が開かれており、クワッドを中心に中国を牽制しようとするバイデン大統領の構想が本格化する見通しです。

アメリカは日本、インド、オーストラリアとの安保協力関係「クワッド」に韓国が参加することを望んでいます。韓国がアメリカの中国けん制に協力しなければ、韓米同盟は弱まり、北韓の核問題をめぐる交渉から排除されたり、アメリカへの輸出製品に関税を課されるなど、経済分野で不利益を被る可能性があります。一方、韓国がアメリカに味方すれば、中国から貿易報復を受けるおそれがあります。

韓国政府としては、敵を作らないことが最も重要です。そのための戦略的なコミュニケーションの方法を探る必要があるでしょう。企業としては、最悪の場合に備えた対策を急いで講じる必要があります。そのためにも、政府としては、多層的な安全保障の枠組みを構築するとともに、アメリカ、中国との戦略的なコミュニケーションチャンネルを設けることが喫緊の課題となっています。

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