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経済

政策金利引き上げの背景や経済に与える影響

#今週の経済の焦点 l 2021-08-30

ⓒ Getty Images Bank

韓国銀行の金融通貨委員会は26日、政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げました。

韓国銀行は去年3月、新型コロナウイルスの感染拡大により景気減速が予想されるとして、政策金利を年1.25%から過去最低の0.75%に引き下げ、去年5月にはさらに0.25%利下げし、その後、据え置きが続いていました。

韓国銀行が政策金利を引き上げたのは、新型コロナウイルス感染症の大流行よりも、金融リスクの方が経済への大きな脅威になると判断したためとみられます。韓国では、物価上昇が目立ち、インフレ懸念が強まっています。また、市中への資金供給が増え、不動産や株式など資産価格が上昇しており、金融機関からお金を借りてこれらの資産に投資する人も多く、家計債務、つまり個人向け融資が膨らんでいます。さらに、金融引き締めに動いても問題ないほどに景気がはっきりとした回復傾向を見せているという韓国銀行の判断も背景にあるとみられます。

外部要因もあります。アメリカFRB=連邦準備制度理事会は18日、7月に開いたFOMC=連邦公開市場委員会議事録を公開しましたが、量的緩和の縮小を始める時期について、ほとんどの参加者が「今年中が適切」との判断を示していました。アメリカが利上げに踏み切ると、世界の資金がアメリカに流れ込み、ウォン安ドル高が一気に進みかねないため、韓国銀行が先手を打つ形で利上げを行ったということもできます。

政策金利の引き上げにより、融資を受けた人たちの利子負担が大きくなることが心配されています。韓国の家計債務は6月末の時点で1800兆ウォンに上っています。家計債務以外に零細事業者や企業の債務などを合わせると5000兆ウォンに上り、利上げによる負担の増加はとても大きくなります。また、企業も、金利が上がると、その分コストが上昇し、製品の値段を上げざるを得なくなるため、価格競争力が落ちるおそれがあります。これにより韓国製品の輸出競争力が低下する可能性があり、輸出にもマイナスの影響が心配されます。

韓国銀行は、2010年、世界的な金融危機が収まると、わずか1年間で5回も利上げに踏み切っています。今回も、コロナ危機が終われば、立て続けに利上げを行う可能性があり、市場に与えるショックを和らげるための方策を考えなければなりません。

新型コロナを克服し、金融政策を正常化するなかで、低所得層や零細事業者が受ける痛手を最小限に抑えるため、政府と金融当局、韓国銀行が足並みを揃え、有効な対策を講じることが課題となっています。

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