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文化

「男唱歌曲、初数大葉(チョスデヨプ)」ほか

#国楽の世界へ l 2018-10-10

国楽の世界へ


韓国の弦楽器コムンゴといえば、王山岳という者が浮かびます。また、擦弦楽器カヤグムといえば、于勒が浮かぶでしょう。三国史記の記録によりますと、コムンゴは王山岳が作った楽器だそうです。しかし、カヤグムを作ったのは于勒ではありません。カヤグムを作った人は伽耶という国の嘉悉(カシル)という王様で、于勒は伽耶の宮中の楽師でした。伽耶は12の部族からなる国で、地方ごとに言葉が違い、お互いに言葉が通じないことが王様の悩みだったようです。それで、カヤグムを作り、于勒には音楽を作って演奏するよう指示したのです。人々の心を繋ぐには、言葉よりも音楽の方が効果があると思ったのでしょう。于勒は王様の指示を受け、12の音楽を作って演奏しました。それが6世紀頃のことですが、1500年余りが過ぎた今でも、カヤグムは昔の姿を保っています。今日の最初は、カヤグムの演奏をお楽しみいただきます。伝統的な声楽曲の最初の曲、「男唱歌曲、初数大葉(チョスデヨプ)」という曲をチョ・ユフェさんのカヤグムの演奏とキム・ビョンオさんの歌でお楽しみください。


嘉悉王は音楽を通じて人々の心を繋ぎ、国を治めようとしました。でも、現実はそうはいきませんでした。新羅が勢力を広げ伽耶が滅びそうになると、于勒はカヤグムを持って新羅に亡命します。于勒が何故そのような行動をしたのかに関しては正確な記録はありません。国が滅亡するとしても、国の音楽だけは守り抜きたいと考えたのではないでしょうか。新羅の王様、眞興(ジンフン)王は、于勒を喜んで受け入れました。しかし、臣下たちは違いました。滅んだ国の音楽が入ってくると、新羅も乱れるのではないかと思ったのです。当時の政治家が音楽をどれだけ重視したのか推測できます。しかし、眞興王は先を見る人だったようです。于勒に3人の弟子をつけて学ばせました。学習が終わると、三人は音楽を新しく改造して演奏したそうです。いわば、伽耶の音楽を新羅式に再解釈したのです。于勒は、最初は怒ったものの、音楽を聴いてからはレベルの高さに感嘆しました。「楽しいが楽しすぎず、哀切だが悲痛ではなく、正しい音楽だ」と誉めたとのことです。それでは、今度は、カヤグム散調(サンジョ)という演奏法の名人、「金竹坡(キム・ジュクパ)流のカヤグム散調」を、ミン・ミランさんのカヤグムの演奏でお楽しみいただきます。


カヤグムには、大きく二つの種類があります。ひとつは、1500年の伝統を誇るカヤグムです。この楽器は弦の間隔が広く、速いテンポの音楽を演奏するには適していません。そのため、朝鮮時代の末には、多様な音楽が演奏しやすいように、楽器を小さくし弦の間隔も狭くしたカヤグムを作りました。西洋の音楽が入ってきてからは、更に多様な音楽を演奏できるように、カヤグムを果敢に改良しました。弦の数を増やしたり、もともと絹糸で作った弦を鉄に変えるなどの試みです。今日の最後は、淑明(スクミョン)カヤグム演奏団の演奏で、「タリョンヒャンジョンダン」という曲をお楽しみください。多様な実験を経て、最近の創作音楽では弦が25のカヤグムを多く使用しています。合成繊維で作った弦を使用し、両手で弦を弾く演奏法が多く用いられます。でも、伝統的なカヤグムとは大分違う音色になってしまったように思えます。

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