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文化

李範宣(イ・ボムソン)の短編小説「誤発弾」

2018-12-11


解放村の坂を上っていくにはあまりにも空腹だった。

山を削って適当に建てた掘っ立て小屋が並ぶ町。

チョルホは路地に入っていった。


その路地の突き当たり、

黄ばんだセメントの袋を白い糸で適当に縫いつけて作った

チョルホの家の戸が見えた。


해방촌 고개를 추어오르기에는 뱃속이 너무 허전했다.

산비탈을 도려내고 무질서하게 주워 붙인 판잣집들이다.

철호는 골목으로 접어들었다.


저만치 골목 막다른 곳에,

누런 시멘트 부대 종이를 흰실로 얼기설기 문살에 얽어맨

철호네 집 방문이 보였다.



#インタビュー:ソウル大学国語国文学科 パン・ミノ教授

解放村はその名前からも分かるように、解放直後、祖国に帰ってきた人たちが定着した地域でした。

その後、1950年に勃発し、3年に及んだ韓国戦争が終わる頃、北韓から来た人たちが加わり、路地の中は掘っ立て小屋でいっぱいでした。一つの番地に多くの人々が暮らしていたため、郵便配達にも困るほどでした。韓国戦争直後、混乱を極めていた韓国社会を象徴する空間といえます。




北韓でそれなりに裕福に暮らしていた母親のとって

解放村での生活は受け入れがたいものだったに違いありません。

   

山を削った坂道に

みすぼらしい掘っ立て小屋がびっしりと並ぶ「解放村」は、

母親にとって決して「解放の村」ではなかったのです。



「どこに行けばいいんですか。」

「とにかく行ってくれ。」

「はあ、おかしい人だね。誤発弾のような客を乗せてしまったものだ。

自分の目的地も知らないなんて。」


運転手はギアーを入れながらつぶやいた。

チョルホはうつらうつらと眠りに陥りながら運転手のつぶやく声を聞いていた。


息子の役割、夫の役割、父親の役割、兄の役割、それに計理士事務所の書記の役割、

すべき役割が多すぎるな。

そう、私はあなたの言うとおり、造物主の誤発弾なのかも知れない。

どこに行けばいいのか分からない。

それでも今、私はどこかに行かなければならないんだ....


“어디로 갑니까?” 

“글쎄, 가” (철호)

“하 참, 딱한 아저씨네. 어쩌다 오발탄같은 손님이 걸렸어. 자기 갈곳도 모르게“ 


운전수는 기어를 넣으며 중얼거렸다.

철호는 까무룩이 잠이 들어가는 것 같은 속에서 운전수가 중얼거리는 소리를 멀리 듣고 있었다.


 아들 구실, 남편 구실, 애비 구실, 형 구실, 오빠 구실,  또 계리사 사무실 서기 구실.

 해야 할 구실이 너무 많구나.

 그래 난 네 말대로 아마도 조물주의 오발탄인지도 모른다.

 정말 갈곳을 알 수가 없다.

 그런데 지금 나는 어디건 가긴 가야 한다...




作家:李範宣(イ・ボムソン)(1920年~1982年、平安南道新義州生まれ) 

デビュー:1955年 文芸誌「現代文学」に発表した短編小説「暗票」

受賞:1961年 第5回東仁文学賞など

作品:「ハンマウル(鶴村)の人たち」(1957年)、「土亭祕訣」(1958年)など

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