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文化

「春香の歌」ほか

#国楽の世界へ l 2018-12-12

国楽の世界へ


朝鮮時代、英祖(ヨンジョ)という王様の1700年代に、「晩華集(マンファジプ)」という本が記録されました。「晩華集」には、「春香(チュンヒャン)の歌」に登場する春香がブランコに乗っている姿を描写した内容があります。ここには、中国の神話の舜という帝王の妻、娥皇と女英、そして、月に住む仙女嫦娥が登場します。春香を描写する場面で神話の人物が出るのは、春香がどれだけ美しかったかを表すためです。「晩華集」は、パンソリに関する最も古い記録です。ユ・ジンハンという学者ソンビが、全羅道(ジョンラド)、湖南(ホナム)地方を旅行する中で聞いたパンソリを、詩で記録したものだそうです。古くから伝わった「春香の歌」は、その後、多様なバージョンで歌われます。今日は、まず、カヤグムの演奏と歌で「春香の歌」をお楽しみいただきます。イ・モンリョンがはじめて春香を訪ねる日の場面です。夕方に春香を訪ねることになっていたようですが、日が沈むのを待ちきれず、使いの者に腹を立てる場面です。「春香の歌の中から、太陽のお便り、춘향가 중 해소식」という曲を、チ・ソンジャさんのカヤグムの演奏と歌でお楽しみください。


一人のミュージシャンが楽器を演奏しながら歌うことを、「ビョンチャン」といいます。現在は擦弦楽器カヤグムとコムンゴのビョンチャンが伝わります。ビョンチャンは、主に民謡や短歌、パンソリのある場面を演奏しながら歌います。太鼓に合わせて歌うパンソリと比べると、はるかに華やかです。「京畿(キョンギ)雑歌」は、ソウルとその周辺の京畿地域のプロの歌い手が歌ったジャンルです。何人かで太鼓を叩いたり踊りながら歌う方法と、一人で座って歌う方法があります。一人で歌う場合、歌のテンポがゆっくりで長いということから、「長い雑歌、ギンジャプカ」とも言われます。今では12曲が伝わっていますが、中には、「パンソリ、春香の歌」をテーマにした曲もあります。イ・モンリョンが遠くから春香の家を眺めている内容や、春香がお別れのご馳走を用意する内容などがあります。また、春香が地方官の誘いを断って鞭に打たれる場面の歌もあります。鞭に打たれる場面が伝わるのは、権力の前で悔しい思いをした春香に人々が共感したからだと思います。今度は、春香とイ・モンリョンの別れの場面、「京畿雑歌の中から出引歌(チュルインガ)、경기잡가 중 출인가」という曲を、イ・グムミさんの歌でお楽しみください。


朝鮮時代、妓生(キーセン)という芸者は、最も卑しい身分とされました。妓生の娘の春香が、自分は妓生ではないと言っても、上流階層ヤンバンからすると納得できないお話です。春香は、現実は卑しい身分であっても、プライドだけはヤンバンに負けませんでした。結局、科挙に合格したイ・モンリョンと結ばれるという、シンデレラのようなお話です。今日の最後の曲は、春香の歌を少し違う観点から解釈したものです。プロジェクトロックの、「イ・モンリョン」という曲です。この曲は、獄中にいる春香のストーリをユーモアに解釈しています。イ・モンリョンがまるでホームレスのような格好で獄中にいる春香を訪ねると、春香ががっかりして嘆く内容の歌でした。春香が今の時代を生きるとしたら、どのような姿であっただろうかと、想像してみるのも楽しそうです。

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