自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
真夜中、ある男性が庭でうろついています。部屋には明かりがついているので、本を読んでいて、夜風に当たるために出てきたようです。でも、男性の視線はドアの方に向かっています。誰かが来たのでしょうか。または、誰も来ないことを知っていながらも、じっとしていられず庭に立っているのかも知れません。夜の風が寂しく感じられます。これは、朝鮮時代の画家、アン・ジュンシク先生の、音が木の隙にあるという意味の「声在樹間図(ソンゼスガンド)」という作品を表現したものです。作曲家のファン・ビョンギ先生は、ある日、KBSのスタジオで偶然この作品のコピーを見ました。作品の雰囲気に見とれて、その絵をもらって行っては作曲をしました。それが、「夜の音」という曲です。今日の最初は、まず、この曲をお楽しみいただきます。「夜の音、1章、神秘に、밤의 소리 1장 신비롭게」という曲を、カヤグムとチャングの演奏でお楽しみください。
「声在樹間図」という作品はもともと、中国のある男性のお話を絵で表現したものだそうです。ある日の夜、男性が本を読んでいると、最初は落ち葉と風の音が聞こえてきました。ところが、その音は、まるで荒波のような音になり、そのうち、兵士が走っているかのように大きな音に変わったそうです。使いの者に、外で何が起きているのか行ってみるように言いました。ところが、様子を見てきた使いによると、月と星が庭を照らし、人気はなく、木の隙から音が出ているとのことでした。静かな夜中に、自分にだけ聞こえてくる音だったのです。男性はその音が、季節が変わる音だと受け止めました。でも、誰かには、愛する人が訪ねてくる音に聞こえるかも知れません。韓国にも、似たような内容の詩があります。詩に登場する学者ソンビは、ドアの向こうに誰かがいるような気がして急いで出てみました。でも、庭にいるのは人ではなく、鳳凰であったとのことです。誰もいなかったから良かったものの、人に見られたら笑いものになるところだったと言っています。今度は、この詩の様子を、イ・ドンギュさんの歌でお楽しみいただきます。「男唱歌曲、言楽、碧紗窓(ビョクサチャン)、언락 벽사창이」という曲です。
時間は、誰にとっても公平なものです。時間はいつも一定しているからです。でも、そうでないように感じるときもあります。楽しい時間はすぐに過ぎてしまうものの、何かを待っているときは時間が経つのが遅いものです。いつかは良いこともあるだろうと思っているうちに、歳月が流れ、年をとってしまいます。特に、年末になると、未来に対する希望よりは、過去に対する残念な気持ちがより大きく感じられます。しかし、残念な気持ちになるということは、それだけ、未来に対する期待が大きいということでもあります。今日の最後は、イ・ジュンアさんの歌で、「平時調(ピョンシジョ)という定型詩で、霜月、동짓달」という曲です。今週の土曜日、22日は、一年の中で最も昼が短いという冬至です。長い夜になりそうですが、夜の向こうでは暖かい春が私たちを待っています。寒い冬の後は、暖かい春が来るということを記憶したいものです。
2024-03-21
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