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文化

李泰俊(イ・テジュン)の短編小説「月夜」

2019-01-08


城北洞(ソンブクドン)に引っ越してきて5、6日が経った頃だっただろうか。


その夜、私は読んでいた新聞を枕許に投げ出して寝転び、

今さらのように「ここも本当に田舎だな!」とつぶやいた。


外が暗く、

小川のせせらぎ、松林から吹いてくる風の音を初めて聞いたからではない。

その夕方、ファン・スゴンという人に初めて会ったからだった。


성북동으로 이사 나와서 한 대엿새 되었을까.


그 날 밤 나는 보던 신문을 머리맡에 밀어던지고 누워 

새삼스럽게 “여기도 정말 시골이로군!” 하였다.


무어 바깥이 컴컴한 걸 처음 보고

시냇물 소리와 쏴 하는 솔바람 소리를 처음 들어서가 아니라

황수건이라는 사람을 이날 저녁에 처음 보았기 때문이다.



作家、李泰俊(イ・テジュン)の短編小説「月夜」は、1930年代のソウル城北洞(ソンブクドン)を背景にした作品です。

ソウルの都心から、当時はまだ寂寥(せきりょう)としていた街、城北洞(ソンブクドン)に引っ越し住んでいた主人公の「私」は、ファン・スゴンという人物に出会います。



#インタビュー:文芸評論家 チョン・ソヨンさん 

小説「月夜」に登場するファン・スゴンは周りの人よりちょっと劣っている人物として描かれています。作者はそんな彼を通じて、日本による植民地支配時代の近代化の中で疎外されてしまった貧しい庶民の姿を描いています。1930年代当時、城北洞(ソンブクドン)はソウルの外れにある貧しい街でした。作家、李泰俊(イ・テジュン)は、近代化によって韓国社会から疎外されていく庶民の姿を描き出すため、城北洞という空間と月夜という時間を用いたのです。



ある日、私は「一生の願いは何か」と彼に訊いてみた。


彼は「そんな質問に答えるのは簡単だ」と言いながら

一生の願いは正式の配達員になることだと答えるのだった。

正式の配達員に頼まれた20部ほどを配達し、

月給として正式の配達員から受け取るのは3ウォンあまり。

それに対して20ウォンの月給をもらい、

新聞社の服を着て鈴をつけて配達に向かう正式の配達員が一番うらやましいと言う。


そして、配達員の鈴さえつければ自分も走りまわり、

配達が遅くなることもなく、

銀行員の家の犬も少しも怖くないだろうに、と話していた。


하루는 나는 ‘평생소원이 무엇이냐’고 그에게 물어보았다.


그는 “그까짓 것쯤 얼른 대답하기는 누워서 떡 먹기”라고 하면서

평생소원은 자기도 원배달이 한 번 되었으면 좋겠다는 것이었다.

남이 혼자 배달하기 힘들어서 

한 이십 부 떼어주는 것을 배달하고 

월급이라고 원배달에게서 한 삼원 받는 터이라,

월급을 이십여 원을 받고,

신문사 옷을 입고 방울을 차고 다니는 원배달이 제일 부럽노라 하였다.


그리고 방울만 차면 자기도 뛰어다니며

빨리 돌릴 뿐 아니라 

그 은행소에 다니는 집 개도 조금도 무서울 것이 없겠노라 하였다.




作家:李泰俊(イ・テジュン)(1904年~未詳、江原道鉄原生まれ) 

1925年 文芸誌「朝鮮文壇」に発表した「五夢女」を通じてデビュー

1933年 月刊紙「中央」を通じて小説「月夜」を発表

1941年 第2回朝鮮芸術賞を受賞

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