自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
生きているうちに奇妙な経験をする日がある。
そんな日は朝から何もかもねじれていくような気がするものだ。
そして一日中、一生に一度起きるだろうかと思えるような出来事が
まるで待っていたかのように
一つずつ襲いかかる。
私には今日がそんな日だった。
살다 보면 이상한 날이 있다.
그런 날은 아침부터 어쩐지 모든 일이 뒤틀려간다는 느낌이 든다.
그리고 하루 종일 평생 한 번 일어날까 말까 한 일들이
마치 기다리고 있었다는 듯
하나씩 하나씩 찾아온다.
내겐 오늘이 그랬다.
その日は本当に奇妙な日でした。
朝、剃刀が折れてしまったため、髭を半分しか剃れませんでした。
時刻はすでに7時40分。
急いで家を出たのですが、故障なのかいくら待ってもエレベーターが来ません。
時計を見ると7時55分。
私は15階から1階に向かって出前を配達する店員のように走り下りていった。
5階を通っている時、
6階と5階の間にエレベーターの扉が開いたまま止まっていて、
その隙間から人の両足がぶらついているのが見えた。
その時、上の方に住んでいる人たちがあわただしく私を突き飛ばして下りていった。
こざっぱりとした身なりの彼らは出勤途中だった。
人がエレベーターに挟まれて死んだかも知れないのに
何も気にすることなく通り過ぎるなんて。
しかし、私にもこれといってできることはなかった。
8時きっかり。
しかし、彼を助ける力も時間もなかった。
나는 15층에서 1층을 향해 중국집 배달원처럼 달려 내려갔다.
5층을 지나가면서 보니 엘리베이터는 문이 열린 채로
6층과 5층 사이에 걸쳐 있었고,
엘리베이터 아래로 사람의 다리 두 개가 대롱거리고 있었다.
그 때 내 앞으로 위층에 사는 사람들이 바삐 나를 밀치고 아래쪽으로 내려갔다.
말쑥한 신사복을 차려입은 그들은 출근중이었다.
사람이 엘리베이터에 끼여 죽었는지 살았는지도 모르는데,
저렇게 무심히 지나치다니.
하지만 나 역시 할 수 있는 일은 별로 없었다.
여덟시 정각.
하지만 그를 구해낼 힘도 시간도 없었다.
#インタビュー:文芸評論家 チョン・ソヨンさん
面白いことに主人公はエレベーターに挟まれた人の顔ではなく足を目撃します。顔はその人のアイデンティティを表しますが、足からは何の情報も得ることができません。顔が見えないこの人物は1990年代の韓国社会を生きる不特定多数の人を意味しています。作者は資本主義の象徴と言える高層マンションのエレベーターに挟まれ、しかも足しか見えない人物を登場させ、目まぐるしく動く都市のシステムの中で疎外された人たちを表しているのです。
作家:金英夏(キム・ヨンハ)(1966.11.11.~ 、江原道華川郡生まれ)
デビュー:1998年 小説「私には私を破壊する権利がある」
受賞:2015年 第9回金裕貞文学賞ほか
2024-03-21
2024-03-14
2024-03-15