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文化

小説「彼女の名前は」

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2020-01-17

玄海灘に立つ虹

前回、映画「82年生まれ、キム・ジヨン」紹介。小説はチョ・ナムジュ作家。今日はチョ・ナムジュ作家の「彼女の名前は(그녀 이름은)」紹介。韓国で#Metoo運動が吹き荒れた2018年に出た。


短い話がたくさん詰まった小説で、それぞれ主人公が違う。「作家の言葉」を見ると、「9歳から69歳まで、60人余りの女性が自身の話を語ってくれた」とある。小説だが、取材に基づく、リアリティーのある話。


「82年生まれ、キム・ジヨン」が、日本の多くの女性の共感を呼んだと言われているが、実は私は、日本と韓国はやっぱり違うな、という部分のほうが印象的だった。


「彼女の名前は」でも、結婚する時の、夫の家族や親戚の存在感が、違うと思った。もちろん、日本も家庭によってそれぞれだが、私を含め、日本で日本人同士結婚した友達と、韓国の男性と韓国で結婚した日本人女性の友達から聞く話でも、その差を感じる。


例えば、「離婚日記」では、新婚の主人公が、夫の家族、特に姑との葛藤で耐えきれなくなって離婚するという話。例えばある週末、連絡もなく、姑が訪ねてくる、冷蔵庫の中をすみずみまで調べて、自分の息子がかわいそうだ、という。結婚前は、自分が一人暮らしの息子の家に来ておかずを作っていた、と。


韓国と日本の、親子の関係の違いがあらわれていると思う。うちの夫の母は、夫が大学に入って一人暮らしをはじめても、まったく訪ねてくることがなかった、という。大学生以上には、あまり干渉しない親が多いと思う。干渉も支援もない、という距離感。韓国では、干渉も多いが、それだけいろんな面で面倒もみてもらえる、という関係の濃さを感じる。これは家族に限らず、友達同士でも、日本に比べるとそういう面がある。


この小説のおもしろいのは、一つ一つの話が関係がないようで、関係のある部分も。例えば、さっき話した「離婚日記」の次は、「結婚日記」で、「離婚日記」の主人公の妹が主人公。姉の離婚に接して不安に感じながらも、自分は慎重に結婚するという話。別人格の視点から見ていくおもしろさ。


多くの夫婦、カップルはそれなりに相手に不満を抱えながら、それを相手に伝えたり伝えなかったり、その間で葛藤していると思う。この小説を読むと、悩んでるのは自分だけじゃないんだと癒される部分もあるし、その解決法を自分なりに考える材料にもなりそう。

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