メニューへ 本文へ
Go Top

文化

「ツバメの路程記」ほか

#国楽の世界へ l 2020-03-04

国楽の世界へ


韓国では3月に新学期が始まります。3月は、春への新しい期待感で満ち溢れる時期です。昔の人々は、「花咲く春の3月」という表現をよく使いました。当時は陰暦だったので、陽暦にすると4月に当たるでしょう。でも、最近は温暖化の影響で温かいので、陽暦の3月だとしても良さそうです。昔は奇数が重なる日が吉日だとされました。1月1日はお正月ソルナル、5月5日は端午、7月7日は七夕、9月9日は重陽です。重陽は、丘に登って菊の花を楽しむ日でした。また、この日には、ツバメが冬を控えて温かい地方へと旅立つとされました。そして、翌年の春になってツバメが戻るのが、3月3日の上巳です。上巳には、お年寄りはお年寄り同士で、若者は若者同士で、男性も女性も、それぞれ山や畑に行って花見をしたりチヂミを作って食べました。春の機運をたっぷり受け入れて楽しむのです。今日の最初は、温かい地方に行っていたツバメが戻ってくる旅路を歌う、「ツバメの路程記、제비노정기」という曲を、パク・キヒさんのカヤグムの演奏と歌でお楽しみください。


「パンソリ、フンボの歌」で、ツバメがフンボの家までたどり着くまでの場面を、歌い手が直接カヤグムを演奏しながら歌うものでした。ところが、このツバメは、海を横切ってくれば速いのに、あえて陸地を回ってくるのです。中国のカンナムという地域から陸地を通って韓国まで来るには、中国を横切らなければなりません。その間、あらゆる名勝地を見回ってきます。北京から漢陽(ハンヤン)までの道筋は、昔、中国と朝鮮を行き来していた使臣がよく通った道だそうです。このようにフンボの家まで来たツバメは、フンボの手のひらにヒョウタンの種をひとつ落とします。善人の弟フンボが、ツバメの脚を治してあげたことへの恩返しです。そのヒョウタンのおかげで、フンボは大金持ちになります。その噂を聞いた意地悪な兄ノルボは、自分もフンボの真似をすることにします。でも、どんなに待っていてもツバメがこないので、直接ツバメを捕まえに行くのです。今度は、この場面、「パンソリ、フンボの歌のうち、ツバメを捕まえに行く場面から最初のヒョウタンを割る場面、흥보가 중 제비 후리러 가는 대목-첫번 째 박 타는 대목」という曲を、パク・ロクジュさんの歌でお楽しみください。


京畿(キョンギ)の雑歌は、ソウルや京畿道(キョンギド)地域の歌い手の歌です。静かに座って太鼓の拍子だけで歌うのを、座唱(ジャチャン)といいます。全部で12曲だとして、12雑歌ともいいます。ところが、この12の雑歌の中には、パンソリのお話がいくつもあるんです。それだけパンソリがソウルや京畿道の地域で親しまれたということでしょう。今日の最後の、「ツバメの歌、ゼビガ」という曲もそのうちのひとつです。この曲を、キム・ヨンイムさんの歌でお楽しみください。この曲は、「春香の歌」のうち「愛の歌」の一部を歌ってから、拍子が速くなると、「フンボの歌」の意地悪な兄ノルボがツバメを捕まえに行く場面が続きます。でも、一番の山場は、パンソリの後に続く、愛する人と別れ離れになった寂しい気持ちを歌う場面なのです。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >