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文化

「十二の欄干」ほか

#国楽の世界へ l 2020-04-29

国楽の世界へ


韓国の昔の人々は、自然を人工的に手入れするより、ありのままの姿で楽しむのが好きでした。景色の良い場所には、小さい東屋、または、もう少し大きめの楼閣がありました。東屋と楼閣を合わせて、楼亭ともいいます。学者ソンビは、このような楼亭でお酒やお茶を楽しんだり、詩や絵、音楽などの風流を楽しみました。古くから美しい景色を誇る有名な楼亭は、それ自体が作品のネタになったものです。今日の最初の曲は、カンルンという地域にあるキョンポデという楼閣を歌う曲、漢詩を歌にした、「詩唱(シチャン)、十二の欄干」という曲です。もともとの詩は、朝鮮時代後期、高宗(コジョン)という王様の時代、シム・ヨンギョンという方が、キョンポデの春を描いたものです。十二の欄干、楼閣、カンルンの春が鏡の中に現れたという内容です。キョンポの湖を鏡に例えて歌ったのです。湖にはカモメが飛び交い、ソンビはキョンポデに座ってお酒と景色を楽しむという内容です。今日は、チョ・イルハさんの歌で、「詩唱、十二の欄干、시창 십이난간」という曲をお楽しみください。


韓国の東海岸を中心とした八つの名勝地を、関東の八景といいます。キョンポデは、中でも一番だとし、関東第一の楼閣といわれます。自然と合わさった建物も立派ですが、楼閣の中から外を見渡したときが大変美しいです。キョンポの楼閣は、湖が見渡せる高いところに位置しています。緑が美しい春の日、キョンポデに座って風に当たっていると、最高に気持ち良いはずです。伝統芸能パンソリ、「春香(チュンヒャン)の歌」にも、クァンハンルという名前の楼閣が重要な場所として登場します。部屋で勉強ばかりしていたイ・モンリョンが、春のある日、クァンハンルに散歩に出かけました。高いところの楼閣で景色を眺めていると、遠くでブランコに乗っている春香の姿が見えます。クァンハンルは、朝鮮時代の初期に建てられましたが、戦争で焼けてしまい、1638年に建て替えました。建て替える際には、楼閣の前に湖をつくり、七夕に牽牛と織女が出会うカササギの橋を設置しました。16歳の思春期の年頃のイ・モンリョンは、クァンハンルでカササギの橋を見つめながら、自分も織女のような女性と出会いたいと思ったはずです。そのとき、ちょうど春香のことを見つけ、一目ぼれしてしまったのです。イ・モンリョンがクァンハンルで景色を眺める内容の歌があります。今日は、この歌、「赤城歌(チョッソンガ)」という曲を、アン・スクソンさんの歌でお楽しみください。


今度は、中国の楼閣、鳳凰台という場所でのお話です。鳳凰台は、中国の四大楼閣のひとつです。中国の詩人李白は、黄鶴楼という楼閣に行って詩を作ることにしました。ところが、楼閣に行ってみると、そこにはすでに崔顥という者が作った詩がかかってあるのです。その詩があまりにも立派なので、そこで詩を作ることは止めて、その代わりに、鳳凰台に向かいました。彼はそこで、「三つの山は半分は雲に隠れ、川は二つに分かれて流れる」という内容の詩を作りました。今日は、この詩をもとにした歌をご紹介いたします。チョ・スンエさん他皆さんの歌で、南道(ナンド)の雑歌、「三山半ば落つ、삼산은 반락」という曲をお楽しみください。李白は鳳凰台で作った詩がとても気に入ったみたいです。崔顥が黄鶴楼で作った詩と、比べてみるようにと言ったほどです。この詩は、韓国の昔の歌にもよく登場します。今日お聞きになった、「三山半ば落つ」という曲では、曲名になってしまったほどなんです。

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