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文化

映画「密偵」

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2020-06-05

玄海灘に立つ虹

〇今回は、キム・ジウン監督、ソン・ガンホ、コン・ユ主演の「密偵」をご紹介。武田さんも出演。


〇韓国では2016年に公開、観客数750万人のヒットを記録。日本では2017年11月に公開で、その直前の10月、釜山国際映画祭の取材に合わせて来ていた日本のメディアが、「密偵」主演のソン・ガンホさんに釜山で合同インタビューする機会があった。この時、通訳を務めた。日本語のセリフも多い役だったので、日本語も少し話してくれた。大俳優が恥ずかしがりながら話してくれるので、そのギャップにシムクン。


〇この日は釜日映画賞の授賞式で、授賞式後に合同インタビューだった。ソン・ガンホは「タクシー運転手」で主演男優賞を受けて、そのプレゼンターがイ・ビョンホン。ちょうどインタビューのためにホテルに入った時に、エレベーターからイ・ビョンホンが出てきて、びっくり。とにかく、受賞後だったのもあって、ソン・ガンホさんはとってもご機嫌だった。


〇映画の内容に話を戻すと、1920年代、日本の統治下の朝鮮が舞台。ソン・ガンホ演じるイ・ジョンチュルは朝鮮人でありながら、日本の警察に所属している。朝鮮総督府警務局警部。鶴見辰吾さん演じる朝鮮総督府警務局の東(ひがし)部長の部下にあたる。武田さんも、同じく東部長の部下。お二人、共演してどうでしたか?


〇一方、コン・ユ演じるキム・ウジンは義烈団のメンバー。義烈団というのは実在した独立運動組織。実際の団長はキム・ウォンボン、映画の中では、チョン・チェサンという名前で、イ・ビョンホンが演じた。ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、コン・ユの3人で上海でお酒を飲むシーンがある。それだけで見たいぐらいすごい組み合わせ。


〇実際、当時爆弾を国内(朝鮮)で作ることができず、上海で作って運んできた。映画では、上海から京城へ爆弾を運ぶ中での、スパイ活動がメインに描かれている。最もグレーな人物が、イ・ジョンチュル。日本の警察に所属しながら、義烈団の活動を助ける。ただ、それが一方で警察として義烈団の検挙にもつながる、という意味では、義烈団の側なのか、警察の側なのか、観客として見ていて白黒はっきりしないだけでなく、おそらくイ・ジョンチュル本人の中でもはっきりしていないのでは。私がこの映画がおもしろかったのは、この部分。この時代の「親日派」と呼ばれる人たちは民族の裏切り者という烙印を押されているけども、そんなに白黒はっきり分かるものなのか、と思う。


〇最も緊張感が高まるのが、列車の中で、日本の警察が義烈団メンバーを探す場面。義烈団の側にも裏切り者がいて、情報が警察に漏れるなか、イ・ジョンチュルもキム・ウジンとこっそり会って警察側の情報を流したり。車両を警察と義烈団メンバーが行ったり来たりするなかで、あ、っと声が出そうな危うい場面がいくつかあった。


〇キム・ジウン監督といえば、ヒット作はたくさんあるが、ソン・ガンホ出演作が「密偵」入れて4本。「クワイエット・ファミリー(조용한 가족)」「反則王」 「グッド・バッド・ウィアード(놈놈놈)」、そして「密偵」。ソン・ガンホさんはインタビューの時に「キム・ジウン監督はいつも新しい感覚で新しい映画を作る」と話していた。ソン・ガンホといえばポン・ジュノ監督のイメージがあるが、キム・ジウン監督との相性もいい。


〇前回の「ペパーミント・キャンディー」に続き、旧作を紹介したが、韓国の劇場でも少しずつ新作を公開し始めていて、次回は新作の中から紹介したいと思う。劇場側も消毒はもちろん、席の間隔をあけて座るようにしたり、コロナ対策もしながら、という状況。私もマスク着用などできる対策はしっかりして、見たいと思う。

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