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文化

「メディテイション」ほか

#国楽の世界へ l 2020-09-02

国楽の世界へ


擦弦楽器アジェンは、韓国の伝統的な楽器の中で最も低い音を出します。そのため、ヘグムと区別がつかないという方もいます。ヘグムとアジェン、両方弓で弦を弾いて音を出すからです。ヘグムは弦がふたつです。もともと騎馬民族が演奏した楽器だそうなので、馬の上でも演奏できるほど小さく軽い楽器です。反面、アジェンは、カヤグムやコムンゴのように長いキリの木の筒の上に弦を載せた楽器です。伝統的なアジェンは、弦が7つで、レンギョウの枝で作った弓で弦を擦って音を出します。筒も大きく、太い弦を使うため、大変低い音程を出します。木で弦を擦るので、どうしても音色が荒っぽくなります。なので、人の感情を響かせる楽器といわれます。朝鮮時代後期、目が不自由だったキム・ウンランという楽師は、ある位牌堂のそばでアジェンを演奏していました。すると、位牌堂にいたお化けがすすり泣きをしたというお話もあります。今日の最初の曲は、キム・サンフンさんのアジェンの演奏で、「メディテイション」という曲をお楽しみください。


アジェンは、高麗時代に韓国に伝わったとされます。朝鮮時代までは主に宮中の音楽を演奏しました。宮中音楽は、宇宙と調和をなすことに重点を置いているため、ゆっくりのスピードが特徴です。そのため、深く低い音色のアジェンが、音楽に重みを与えるには適切だったのです。朝鮮時代末、即興的な民族器楽曲の「散調(サンジョ)」というジャンルができました。日本の植民地から解放された後は、女性の伝統劇が大きく流行り、散調や民謡を伴奏するための適切な楽器が必要になりました。しかし、伝統的なアジェンは大きく重いため持ち運びが大変です。また、弦が厚く木の弓を利用するため、音程や拍子に変化を与えるには鈍い楽器です。それでできたのが、散調アジェンです。従来のアジェンより大きさは半分くらい小さくなり、弦も薄いものを使います。木の弓の代わりに馬の巣でできた弓を使い、より感覚的な音楽を演奏できるようになりました。それでは、今度は、キム・イルグさんの改良アジェンの演奏で、「アジェン散調、ホトゥンカラク」という曲をお楽しみください。


アジェンの音色を、心の琴線に触れる音だと表現することがあります。アジェンの音があまりにも悲しいというのであれば、鉄のアジェンもあります。鉄のアジェンは、1990年代にユン・ユンソクさんが作った楽器です。ユン・ユンソクさんは、伝統劇の楽師として活動しながら、コムンゴとアジェンを演奏しました。その後、自分だけの散調の拍子を作り、アジェンの名人として知られます。彼は、演奏の直前、楽器が壊れてしまい、弦を4つしか使えなくなる状況に直面したことがあります。ところが、4つの弦だけでも20分ほど即興的な演奏を立派に行い、人々を驚かせたという説話もあるんです。そのユン・ユンソクさんが劇の伴奏や独奏のために作った楽器が鉄のアジェンです。今日の最後は、その深い音色をお楽しみいただきます。ユン・ユンソクさんのアジェンの演奏で、「鉄アジェンの散調」という曲をお楽しみください。鉄のアジェンは、絹糸の代わりに鉄の弦を載せたものです。絹糸より清い音を出して、余韻が残るのが特徴です、最近は弓で擦って演奏することもありますが、ユン・ユンソクさんはカヤグムのように指で弦を弾かせて演奏したそうです。

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