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文化

今年話題になった本、よく売れた本

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2020-12-18

玄海灘に立つ虹


〇今日は私が担当する2020年最後の放送の日ということで、今年話題になった本やよく売れた本を振り返ってみたいと思います。今年は日本も韓国も、世界中が新型コロナウイルス感染症の流行によって家で過ごす時間が増えたと思うのですが、それに伴って読書の時間が増えた、という人も多かったかと思います。韓国の出版関連のニュースを見てみると、まだ下半期の結果は出てないですが、上半期は本の販売は前年同期に比べて16%増えたそうです。


〇特に児童書や青少年向けの本がよく売れたそうで、その中には、このコーナーで紹介したソン・ウォンピョンの小説「アーモンド」も入っています。2017年に発売された本なんですが、人気が続いているんですね。日本でも翻訳出版されて、今年の本屋大賞翻訳小説部門で1位となり、話題になりました。

小説では、キム・チョヨプ他2名が書いたSF短編集「わたしたちが光の速さで進めないなら」がよく売れていて、本屋に行くたびにずっとベストセラーの棚にあります。周りから強くオススメされていながらまだ読めていない一冊です。キム・チョヨプさんは1993年生まれということで、注目の若手作家ですね。日本語版は12月に発売される予定ですが、最近は日本で韓国の本がよく売れるので、韓国で売れるとかなりのスピードで日本で翻訳出版されるようになってきました。

他にもイ・ミイェのファンタジー小説「ダラグート 夢の百貨店」も人気ですが、こちらも若い女性作家なんですね。近年は映画監督もそうですが、小説も女性作家の活躍が目立っています。


〇エッセイでは、このコーナーで紹介したキム・スヒョンの「私は私のままで生きることにした」が引き続きよく売れていますし、キム・スヒョンの次作エッセイ「頑張らずに気楽に」も人気です。「私は私のままで生きることにした」は日本で40万部を突破して、韓国の本としては日本での販売最多記録となっています。小説「82年生まれ、キム・ジヨン」よりも実は売れてるんですね。そういうこともあり、次作「頑張らずに気楽に」は日本へ輸出された書籍としては史上最高額の契約金が支払われたという報道もありました。

他にもテス、ムンジョンの「1㎝ ダイビング」というエッセイも人気ですが、現実から1㎝離れた幸せを探すという意味が込められているそうで、いわゆる「소확행」ですよね。小さいけども確実な幸せ。これは最近の韓国の若い人たちの傾向で、家を買うとか現実離れした目標でなく、小さいけども現実的な目標を持つ人が増えています。


〇さらに今年は私の周りの韓国の友人たちもそうなんですが、株式の投資に乗り出す人が多く、 投資や財テク関連の本も多く売れました。高額の株式投資でなく、少額の株式投資がはやっていて、社会人だけでなく大学生の間でもはやっているというニュースを見ました。背景にはコロナによる就職難もあるみたいで、学資ローンを株式投資に回す学生もいるというのはちょっと心配ではあります。


〇コロナ関連で言うと、カミュの「ペスト」が売れたというのは日本も韓国も、その他の海外でも共通だったようです。最初の出版から70年以上経て再び売れるという珍しい現象ですが、過去のパンデミックに学ぼうということなんでしょうね。


〇絵本は先月紹介したドラマ「サイコだけど大丈夫」に出てきたコ・ムニョンの絵本5冊が人気です。


〇こうやって振り返りながら調べていると、また次に読みたい本がたくさん出てきますが、何から読めばいいのか迷っちゃいますね。年末年始、今年はコロナで移動は控えるという方も多いかもしれないですが、引き続き、韓国の本や映画にも関心を持ってもらえるとうれしいです。今年1年、お聴きいただきどうもありがとうございました。

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