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文化

「孔明」ほか

#国楽の世界へ l 2021-08-25

国楽の世界へ


約400年間も中国大陸を治めていた漢が、ある日いきなり滅びるはずはありません。政府は徐々に腐敗し始め、民の暮らしは貧しくなり、反乱が起こりました。その反乱を制圧するために、全国各地で英雄が集まります。でも、いざ英雄という人たちは民のことには関心を持たず、お互いに権力を手に入れようと戦い、結局漢は分裂したのです。その過程に想像力を足して小説にしたのが、よく「三国志」と呼ばれる、「三国志演義」です。義理を重視する劉備、関羽、張飛と、彼らを助ける諸葛亮、義理よりは損得を重視する曹操、または孫権など、多様な人物が各種戦略と戦術を繰り広げます。その中で最も中心となるお話が、赤壁の対戦です。諸葛亮は、孫権の部下の周瑜と共に、曹操の軍を火で責めることにしましたが、問題は真冬なので北西風が吹いていました。火の弓を射ても戻ってきてしまうはずなので、攻撃もできません。諸葛亮は、自分が天に祈ると、風の方向を変えられると言います。周瑜は損をすることはないと思い、諸葛亮の言うとおりにしました。ところが、祈り終わると、本当に風の方向が変わったのです。周瑜は、諸葛亮を生かしておくといつか自分の敵になれると思い、部下を送って諸葛亮を殺すように言いました。その後は、どうなったのでしょうか。今日の最初は、楽団クァンチルの歌で、諸葛孔明の名前から、「孔明、공명」という曲をお楽しみください。


諸葛亮は、周瑜と会う前から、周瑜が自分を殺そうとしているのを知っていました。それで、予め趙雲に、祈りが終わる頃に自分をむかえに来るよう言ったのです。祈りを終えてから趙雲の舟に乗って劉備のところへ戻ろうとすると、周瑜の部下がついてきます。すると、趙雲が弓を射て相手の舟の帆柱を折ったのです。そのようにして風の方向が変わり、ようやく決戦の日が明けました。孫権の部下が降伏するふりをして曹操の方へ近づき、火の弓の戦闘が始まりました。火の攻撃に全く備えていなかった曹操は、大きく戸惑い大敗してしまいます。三国志演義では諸葛亮と孫権側の勝利、曹操の敗北だけを強調していますが、パンソリ「赤壁の戦い」では他の人物のお話も出てくるんです。それでは、ユン・チンチョルさんの歌で、「赤壁の歌のうち、赤壁の火の戦い、적벽가 중 적벽화전」という曲をお楽しみください。


この歌では、悲惨な戦いで空しく死んでいく兵士たちのお話を詳しく表現しています。死を直感して故郷の両親の方へ向かいお辞儀をする人もいますし、苦しんで死ぬのを避けようと自ら身を投げる人もいます。そんな中、いざ戦争を始めた曹操は、自分が生き残ることだけに必死です。その姿を見た兵士たちは、どんな気持ちだったでしょうか。パンソリは、民の間でできた音楽なので、有名な大将より名のない兵士にフォーカスを当てています。今日の最後は、キム・ヨンゼさんのコムンゴの演奏と歌で、「赤壁の歌のうち、鳥のタリョン、적벽가 중 새타령」という曲をお楽しみください。曹操と生き残った兵士が森の方へ逃げると、どこからか鳥の鳴き声が聞こえてきます。目の前で数万人の兵士が亡くなるのを見た曹操は、鳥の鳴き声さえも戦場の兵士が自分を恨む声に聞こえたようです。

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