自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
昔々、韓半島の真ん中にそびえる霊峰、金剛山(クムガンサン)の頂に
パク・ヒョノクという名前の学者が住んでおりました。
学才があるにもかかわらず、官に仕えなかった彼は、朴(パク)処士と呼ばれました。
ある日、近くの村にイ・ドゥクチュンという人が観察司として赴任してきました。
二人は気が合い、すぐに親しくなりました。
朴(パク)処士の娘と李大監(イ・テガム)の息子は結婚しました。
ところが結婚式が終わり、花嫁が待つ部屋に入っていった花婿、李時白(イ・シベク)が
悲鳴をあげました。
「ぎゃあ!あ、あれは化け物です!出っ張ったおでこ、目も口も醜い化け物です!」
李時白(イ・シベク)は妻の朴(パク)氏の部屋に一度も足を向けませんでした。
姑も召使いたちもそんな朴(パク)氏を無視し、陰口を叩きました。
月がひときわ明るい、ある夜のことでした。
朴(パク)氏の父親、朴(パク)処士が雲に乗って山から下りてきました。
朴(パク)処士がご祈祷を捧げた後、呪文を唱え、
娘の朴(パク)氏が皮を脱ぎ捨てると、美しい本来の姿が現われました。
朴(パク)氏は夫の李時白(イ・シベク)に、それまでの経緯を説明しました。
「これまで容姿だけであなたを見ていました。本当に恥ずかしいことです。
どうか私の過ちを許してください」
朴(パク)氏は自分の行動を恥じ、心から謝る夫を慰め、許しました。
当時、韓半島の北部は中国の度重なる侵略に悩まされていました。
朴(パク)氏の夫、李時白(イ・シベク)は林慶業(イム・ギョンオプ)将軍とともに
先頭に立って国を守るために戦いました。
その時、敵国の王の娘、キリョンデが前に進み出ました。
キリョンデは魔術をあやつる、極めて危ない女性でした。
しかし、神通力のある朴(パク)氏はこの状況をすべて見抜いていました。
朴(パク)氏が予言したように雪中梅(ソルチュンメ)に扮したキリョンデが訪ねてきて
攻撃してきましたが、朴(パク)氏が呪文を唱えると、
キリョンデは一瞬にして自分の国まで飛ばされてしまいました。
キリョンデの魔術が通じないと聞いた敵国の王は悩みました。
そして、最も信頼する二人の将軍、竜骨大(ヨンゴルテ)とヨンウルテ兄弟を送り込みました。
未来を予知する朴(パク)氏は夫の李時白(イ・シベク)を通して
王を臨時の行宮(あんぐう)がある南漢山城(ナムハンサンソン)に避難させました。
漢陽(ハニャン)に残ったヨンウルテは多くの人を殺し、手当たり次第、略奪しました。
朴(パク)氏の神通力で武装したゲファがヨンウルテを倒しました。
王は朴(パク)氏に勧められるまま、降伏文書を書き、
世継ぎの王子が人質となることで、戦は終わったように見えました。
ところが、自国へ向かっていた竜骨大(ヨンゴルテ)が弟の死を耳にし、
朴(パク)氏の家に向かって馬を駆りました。
ゲファが飛び出し、竜骨大(ヨンゴルテ)と刀を交えました。
次いで朴(パク)氏が現われ、呪文を唱えると、
竜骨大(ヨンゴルテ)は手足を動かすことができませんでした。
朴(パク)氏は命乞いをする竜骨大(ヨンゴルテ)を自分の国に送り返しました。
戦は終わり、功績を認められた李時白(イ・シベク)は高い官職に就きました。
そして、神通力で国を救った朴(パク)氏は「忠烈夫人」という称号を授かりました。
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