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文化

王さまの耳はロバの耳

2021-11-16

ⓒ YEOWON MEDIA HANKOOK GARDNER CO. LTD

昔々、知恵深く、やさしい国王がいました。

国王は民を大事にする人だったので、国民から敬われ、慕われていました。


ところが、国王には誰にも話せない秘密がありました。

耳が少しずつ長くなり、ロバの耳のようになってしまったのです。


ⓒ YEOWON MEDIA HANKOOK GARDNER CO. LTD

「今日は具合が悪いので、朝礼と会議は休むことにする」


国王は臣下たちの目を避けるために仮病を使ってみましたが、

一国の王がいつまでも国政を休むわけにはいきませんでした。


「そうだ。良い方法を思いついたぞ」


国王は長い耳を隠せる良い解決策を思いつきました。


「新しい冠を作ることにした。

全国各地から腕の良い冠職人を呼び寄せなさい」


ⓒ YEOWON MEDIA HANKOOK GARDNER CO. LTD

全国各地から腕のよい冠職人が王宮に呼ばれてきました。

国王はその中から一番無口そうに見える職人を選びました。


秘密を守るよう何度も念を押した後、国王は頭にかぶっていた冠を脱ぎました。


国王の耳を見た冠職人は度肝を抜かれる思いでした。

しかし、平静をよそおって口をつぐんだまま寸法を計り始めました。


「あんなに長い耳は初めて見たぞ。どうして長くなったのだろう...」


ⓒ YEOWON MEDIA HANKOOK GARDNER CO. LTD

国王の耳を見てしまった冠職人はその長い耳が気になってしかたがありません。

その秘密を誰にも話せないので、胸に何かがつっかえたようでした。


冠職人はますます無口になり、顔色も悪く、食事も喉を通りませんでした。

周りの人たちはそんな職人を心配し、何事かと聞いてきました。


「それが...実はな、王さまの...」


しかし、秘密を漏せば厳しく処罰するという国王の声が聞こえてくるような気がして、

何も言えませんでした。


ⓒ YEOWON MEDIA HANKOOK GARDNER CO. LTD

冠職人は王宮から受け取ったお礼の金で財物を蓄えることができました。

しかし、幸せではありませんでした。


「ああ!もどかしい。この秘密を打ち明ければ、胸がすっとするだろうに」


ある日の夜、冠職人は竹林の奥まで入り、大声で叫び始めました。 


「王さまの耳はロバの耳~!王さまの耳はロバの耳~!」


ⓒ YEOWON MEDIA HANKOOK GARDNER CO. LTD

その日から、風が吹くたびに竹林から変な声が聞こえてくるようになったのです。 


「王さまの耳はロバの耳~!王さまの耳はロバの耳~!」


竹林から聞こえる奇妙な声の噂は村中に広がり、国王の耳にも入りました。


「風の吹く日に竹林から変な声が聞こえてくるというではないか!

ふとどき者の竹をすべて切ってしまいなさい!」


王命によって竹は一本も残らず切り捨てられました。

そして、林には黄色い花を咲かせる山茱萸(ヤマグミ)の木が植えられました。

ところが、山茱萸(ヤマグミ)の木を植えてからも、

風が吹いてくる日には「王さまの耳はロバの耳~!」という声が聞こえてきました。

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