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文化

2021年の本、総まとめ

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2021-12-17

玄海灘に立つ虹

一時帰国中で今日も電話での出演です。よろしくお願いします。前回は2021年の映画を振り返ったので、今回は2021年の本について、どんな本が人気だったのか、今年の傾向を振り返ってみたいと思います。コロナ禍で家にいる時間が増えているので、昨年に引き続き本の販売部数は伸びているそうです。



最近、教保文庫が発表した2021年のベストセラーで、1位だったのは、イ・ミエのファンタジー小説「ダラグート夢の百貨店(달러구트 꿈 백화점)」でした。2020年に発売された本なんですが、ずっとベストセラーの棚にあるので気になってはいたのですが、今年は「ダラグート夢の百貨店2」も発売され、この2冊の販売部数が100万部を超えたということです。すごいですね。ダラグートという人が運営する夢の百貨店を訪れた人々が、「空を飛ぶ夢」や「成功する夢」、「他人の人生を生きる夢」など様々な夢を買うという内容だそうで、ファンタジー中のファンタジーですね。コロナ禍の憂鬱な現状をファンタジーの世界で忘れたいということでしょうか。

今年はファンタジー以外も韓国の作家の小説が好調で、以前紹介したソン・ウォンピョンの「アーモンド」も根強い人気で、チョン・ユジョンの「完全な幸せ」、キム・チョヨプの「地球の果ての温室」、チェ・ウニョンの「明るい夜」など、話題の小説は女性作家が多かったです。



一方、コロナ禍で昨年から引き続き、韓国では財テクブームでして、経済・経営分野の書籍が人気です。教保文庫によると、投資・財テク分野は前年比49.3%増の売れ行きだそうです。「投資の本質」とか「お金の属性」といったタイトルの本がよく売れています。

来年3月には大統領選挙を控えていますが、政治の分野の書籍はあまり上位にはないようで、話題になったのは元法務部長官のチョ・グクが書いた「チョグクの時間」ぐらいですかね。



このほか私が特に注目しているのは、映画やドラマの原作ですがウェブ漫画原作が増えていて、書籍化されているものも多いようです。例えばドラマ「ナビレラ-それでも蝶は舞う」はネットフリックスでも配信されたので見たという方多いと思いますが、原作はウェブ漫画で書籍化もされ、ドラマ放映後に一気に販売部数が増えたそうです。長年の夢だったバレエを習い始めるおじいちゃんと、おじいちゃんにバレエを教えるバレリーナの青年の歳を超えた友情が描かれた作品で、私はドラマを見た後ウェブ漫画を読みましたが、日本語版で読んでいます。日本に一時帰国中なので、日本でどんなふうに韓国カルチャーが消費されているのかリサーチ中なんですが、日本語で読める韓国のウェブ漫画がすごく多くてびっくりしました。

韓国の小説ではないですが、このコーナーでも紹介したミン・ジン・リーの「パチンコ」も話題になりました。ドラマ化されてまだ配信はされていませんが、武田さんも出ている、今年アカデミー賞助演女優賞受賞で注目を浴びたユン・ヨジョン、イ・ミンホも出ているというので私も楽しみにしています。その原作の小説「パチンコ」がもとは米国の小説ですが、韓国でも翻訳されて人気です。



個人的には先月紹介した小説家ファン・ジョンウンのエッセイ「日記」が文章も内容もとても良くて、来年はファン・ジョンウンの小説を読んでみたいなと思っています。お便りで、紹介した本を読みました、という方もいて、とってもうれしいです。やる気が出ますね。来年もいろんな本を紹介できるよう、情報収集に努めたいと思います。年末年始、今年は日本はコロナがちょっと落ち着いているので久々に実家に戻るという方も多いかもしれないですね。皆さんコロナや風邪に気をつけて、良いお年をお迎えください。

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