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文化

「アジェン散調(サンジョ)のうち、チュンモリ」ほか

#国楽の世界へ l 2022-08-22

国楽の世界へ

「アジェン散調(サンジョ)のうち、チュンモリ」ほか

キム・ウンランさんは、朝鮮時代後期の、アジェンという楽器の演奏者です。もともとは、上流階層のヤンバンで、科挙に合格し、当時最高の教育機関、成均館(ソンギュングァン)で勉強した方です。しかし、目の病気を患い視力を失うと、勉強ができなくなり、夢も失ってしまいました。将来が有望だった若者には、大きな試練です。その悲しみを慰めてくれたのが、アジェンという楽器でした。悲しみを音楽で表現し、アジェンの実力は境地に達しました。ある日、アジェンを背負って歩いていた彼は、古い祠堂の壁に寄りかかり休んでいました。少し休んでから、アジェンを取り出していくつかの曲を演奏したようです。すると、祠堂の中から鳴き声が聞こえてきたのです。最初はすすり泣きをしていたのが、すぐに号泣に変わりました。人気の少ない古い祠堂からの泣き声は、人の声だったのか、お化けだったのか分かりません。今日の最初は、キム・ヨンギルさんのアジェンの演奏で、「박종선류 아쟁산조 중 중모리、パク・ジョンソン流のアジェン散調(サンジョ)のうち、チュンモリ」という曲をお楽しみください。


多くの方が、アジェンとヘグムという楽器の音を混同するようです。ヘグムは、丸い筒に竹を垂直に立て、二つの弦をかけて、馬の毛で作った棒で擦って音を出す楽器です。小柄で持ち運びが便利な上、多様な音程と音色が出せるため、流れ者の芸人がよく演奏しました。アジェンは、カヤグムやコムンゴのような形ですが、はるかに大きい楽器です。キリの木で筒を作り、その上に7から10の太い弦を載せて、レンギョウの木の枝で作った棒で擦ります。低い音と大きな響きが特徴で、西洋のチェロと似ています。しかし、弦が太く、木の棒で音を出すため、荒っぽい音色です。精巧で速いテンポの音楽を演奏するには、ふさわしくありません。散調やシナウィというジャンルのような、音程の変化が多様で、時にはテンポが速くなるような音楽を演奏するときは、「散調アジェン」という改良した楽器を使います。伝統的なアジェンを小さく改良したものです。もともとは絹の糸をより合わせた弦を使いますが、散調アジェンができてからは、金属の弦で演奏することもあります。これを、鉄のアジェンといいます。鉄のアジェンは棒を使わず、カヤグムのように弦を指で弾きながら演奏します。今日の二番目の曲は、シン・ヒョンシクさんの鉄のアジェンの演奏で、「철아쟁 산조、鉄のアジェン散調」という曲です。


今度は、アジェンの伴奏で、女唱カゴクをご紹介いたします。カゴクというジャンルは、書斎のような空間で小規模の人数が楽しむ音楽です。アジェンは低音で音が大きいので、大規模な演奏にふさわしく、カゴクの伴奏では使われませんでした。でも、この曲は、アジェンの演奏者チン・ミンジンさんが、「一刻が」という曲の伴奏を新しく構成した音楽です。チン・ミンジンさんのアジェンの演奏と、パク・ジンヒさんの歌で、「일각이 삼추라 하니、一刻が3度の秋」という曲をお楽しみください。一刻は、今の時間では15分、3度の秋は3年を意味します。15分がまるで3年のようであるのに、10日が過ぎても戻らない人を恋しく想い歌う曲でした。

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