メニューへ 本文へ
Go Top

文化

映画『HUNT(ハント)』

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2022-10-06

玄海灘に立つ虹


〇本日ご紹介する映画は、イ・ジョンジェ監督の『ハント』です。『イカゲーム』主演で世界的に知られる俳優のイ・ジョンジェが初めて監督を務めた作品ということなんですが、イ・ジョンジェは先月、エミー賞で主演男優賞を受賞して話題になりましたよね。エミー賞でアジアの俳優が主演賞を受賞するのは初めてだったようで、改めて『イカゲーム』の人気っぷりを実感しました。

『ハント』は今年5月のカンヌ国際映画祭でお披露目、今年のカンヌはソン・ガンホ、パク・チャヌク監督の受賞もありましたが、もう一つの注目がイ・ジョンジェ監督の『ハント』だったんですよね。韓国では8月に公開され、観客数は430万人と、けっこう入っているようです。主演はイ・ジョンジェ、チョン・ウソンの2人ですが、1999年に映画『太陽はない(태양은 없다)』で共演して以来個人的に親しいそうで、今回は23年ぶりの共演ということで公開に合わせて一緒にバラエティー番組にも何度か出ていました。この2人がバラエティーに出ること自体ちょっとびっくりでしたが、宣伝効果はかなりあったようです。


〇1980年代が時代背景で、韓国の情報機関KCIA、当時は国家安全企画部、略して安企部(アンギブ)と呼ばれますが、主人公2人はアンギブ所属です。海外チームのパク・ピョンホをイ・ジョンジェが、国内チームのキム・ジョンドをチョン・ウソンが演じました。2人の主人公が大統領暗殺計画をめぐって激しく対立します。80年代と言えば、80年に光州事件があり、民主化運動が盛り上がる中、軍や警察による鎮圧、拷問など実際に暴力の横行した時代でした。映画の中では、アンギブ内部でも互いに疑心暗鬼、誰が敵で味方なのか、終盤まで主人公2人の本当の目的もなかなか分からず、緊張感が続きます。あまり言うとネタバレになるので控えますが、南北のイデオロギーの対立の中で、果たして2人はどちらの立場なのか?という、韓国映画の王道のようなスパイ映画でした。


〇80年代が背景ではありますが、基本的にはフィクションで、実際の人物や事件を描いたわけではないようです。銃撃シーンが多く、日本や米国、タイの場面もあるんですが、コロナ禍でどうやって撮ったのかなと思ったら、すべて韓国で撮影したそうです。東京の銃撃シーンは釜山で撮影されたようですが、80年代の日本の雰囲気が再現されていて、実際の撮影現場はどんなだったのか、とっても気になります。イ・ジョンジェ監督の力なのか、カメオでファン・ジョンミン、ユ・ジェミョン、キム・ナムギルなど大物俳優が出てくるのもびっくりしました。ファン・ジョンミンはイ・ジョンジェと『新しき世界』という映画で共演していた縁だろうなと思います。


〇エミー賞も受賞したことですし、今日は俳優イ・ジョンジェについて少しお話したいと思います。イ・ジョンジェは1993年にデビュー、伝説的な大ヒットドラマ『砂時計』で注目を集め、2000年代以降は映画中心に活躍してきた俳優ですが、お二人は、イ・ジョンジェと言えばどんな作品が思い浮かびますか? 私は甘い雰囲気のイ・ジョンジェはそんなに好きではなかったんですが、『観相師』の悪役っぷりにほれてしまいました。基本的には悪役のイ・ジョンジェが好きですが、『イカゲーム』の主人公のような、ちょっと情けない役もぴったりですよね。監督としての次作も期待したいですが、俳優イ・ジョンジェの多彩な役も、今後も見せ続けてほしいなと思います。


〇イ・ジョンジェ、チョン・ウソンの2人が主演というだけでも見たいという映画ファンは多いと思います。まだ具体的な時期は分からないですが、日本でも公開されるとは聞いているので、楽しみに待っていただきたいなと思います。最近は日韓の行き来がビザなしでできるようになって、韓国に公開中の映画を見に来る方もいるようです。『ハント』はまだぎりぎり上映しているので、可能なら見てみてください。


おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >