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文化

「済州畑を踏む歌」ほか

#国楽の世界へ l 2023-05-16

国楽の世界へ

「済州畑を踏む歌」ほか

済州島は、三つのものが多い島という意味から、三多島ともいいます。石、風、そして女性が多いことで知られます。最近は美しい景色と便利な交通のおかげで観光地として人気があるのですが、昔はそうではありませんでした。陸地から遠く離れた島だからです。石が多いのですが、普通の石ではなく穴が空いた玄武岩になっています。田んぼや畑にも石が多く、雨が降っても水がたまらず穴から抜けてしまいます。稲作は適さないので、主に畑で農作をしました。済州島に行くと、玄武岩を積み重ねておいたのを見かけます。畑の土が無くなるのを防ぎ、他人の畑との境界を表すためでもあり、済州島特有の強い風から守るためのものでもあります。そのように工夫をしても、春に種まきをすると、種が風で飛ばされたものです。なので、種まきをするときは、馬や牛を畑に追い込みます。馬や牛が畑を踏んで、種が土の中に根付くようにしたのです。そんなとき歌ったのが、「済州畑を踏む歌」という曲です。


畑を耕すときは石をひとつひとつ選び出して、種まきをするときは馬や牛を動員するなど、済州島の農作は陸地よりはるかに大変だったはずです。石と風以外に、また多いのが女性ですが、大変な畑の仕事は主に女性の役割です。済州島に女性が多いのは、女性がもっとたくさん生まれたからではありません。男性がもっと早く亡くなることが多かったからです。済州島の男性は主に舟に乗って漁をしたのですが、小さな木の舟はとても危険だったのです。一度出かけると戻ってこれない人が多かったようです。漁をすること以外の残りの家事は、ほとんどが女性の役割になりました。畑仕事、家事、海女としての仕事まで、済州島の女性は汁物を作る余裕もありませんでした。お湯に味噌を溶かして、冷たいご飯と一緒に食べて、また仕事をしたといいます。だからといって、両親、子供、夫にも適当なものを食べさせたくはなかったでしょう。今度は、ひきうすで穀物をひくときの歌です。


コレとは、済州島の方言でひきうすを指す言葉です。済州島の女性が食事を適当に済ませ、一日中仕事をしながらも耐えられたのは、仕事と共にする歌があったからだと思います。今度は、「ヨンジュの十の景色」という曲です。昔、中国では、神仙が住んでいると信じた山がありました。そのうちのひとつが、済州島のハンラ山を指す「ヨンジュ山」だったため、済州島をヨンジュとも言いました。ヨンジュの十の景色は、朝鮮時代、済州島に赴任した上流階層が、美しい十の景色を選んで作った詩です。それが後日、「ヨンジュの十の景色」という曲になったのです。歳月が流れ、済州島を飛行機で行き来する人が増えた頃、済州島の祭祀の音楽に、朝鮮時代に作られた詩の内容を載せて歌ったのが、「ヨンジュの十の景色」という音楽になりました。

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