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論点

浦項地震、地熱発電で触発

2019-03-23

ニュース

ⓒYONHAP News

浦項地震は地熱発電によって触発されたとする調査結果が出ました。

韓国では2017年11月15日に南東部慶尚北道浦項でマグニチュード5.4の地震が発生しました。

震源は浦項市北区の北方9キロ、震源の深さは4キロでした。

2016年のマグニチュード5.8の慶州地震に次いで観測史上2番目の規模でしたが、被害は過去最大となりました。

この地震で死亡者は出ませんでしたが、92人がけがを負い、およそ1800人の被災者が出ました。

ユネスコの世界文化遺産に指定された伝統家屋の一部が崩壊、また、学校の塀が倒壊するなどで、日本のセンター試験にあたる修学能力試験が史上初めて1週間延期されました。

ただ、原発や製鉄所、ガス管、送油管などの産業施設には被害がありませんでした。

政府推定で被害額は546億ウォンに上ります。

この地震については、発生当初から地熱発電所の建設によって触発されたとする指摘が出ていました。

震源が地熱発電所から数百メートルしか離れていなかったためです。

政府はこうした指摘を受けて内外の専門家で調査団を構成し、昨年3月から詳しい調査を始めました。

調査団は1年余りの調査を経て、このほど浦項地震は自然に発生したものではなく「触発地震」だったとする調査結果を発表しました。

地熱発電は、地下数千メートルの深さまで井戸を掘って水を注入し、地熱によって生成された高温の蒸気を取り出し、タービンを回すことで発電します。

調査団は地下数千メートルまで井戸を掘って大量の水を注入し、蒸気を取り出す過程で地盤が弱くなり、断層に影響を与えたことで地震が触発されたと指摘しました。

この地熱発電所では2016年1月から昨年9月まで蒸気を得るために5回に渡って1万2800立方メートルの水を井戸に注入しました。

地熱発電と地震を結びつけるのは無理があるとの反論もありましたが、浦項地震が地熱発電によって触発されたという調査結果が発表されたことで、責任の所在や賠償の問題に関心が寄せられています。

浦項市民の一部はすでに政府と地熱発電所の運営会社を相手に損害賠償訴訟を起こしていて、今後も同様の訴訟が相次ぐものとみられます。

浦項地熱発電所は政府の研究開発事業の一環として2012年に着工、地震発生当時90%程度が完成していました。

政府は今回の調査結果を受けて、地熱発電商用技術の開発事業を中断すると発表、専門家と協議して安全性を確保する方向で当該地域の原状回復を決めました。

地熱発電はCO2を出さないクリーンエネルギーと言われ、地球温暖化対策に有効だとされていますが、自然破壊や安全問題も提起される結果となっています。

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