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論点

日本の輸出管理強化、WTOがパネル設置

2020-08-01

ニュース

ⓒ Getty Images bank

日本による輸出管理強化に韓国が反発している問題をめぐって、世界貿易機関(WTO)は29日の会合で、第一審に当たる紛争処理委員会(パネル)を設置することを決めました。

日本政府は2019年7月、韓国向けの半導体やディスプレイ材料3品目について輸出管理を厳格化する措置を取りました。

日本政府の輸出管理強化措置を受けて、韓国政府は昨年、WTOに提訴しましたが、11月に提訴の手続きを中断しました。

その後、日本との二国間協議が進められましたが、協議は進展しなかったため、韓国政府は今年6月にWTOに提訴する手続きを再開することにしたものです。

韓国側は会合で、日本政府の輸出管理強化によって3品目の韓国への輸出が不必要に遅延し、韓国企業に被害をもたらしているとしたうえで、3品目は韓国だけでなく世界各国で半導体やディスプレイの製造に使わており、日本政府の措置はグローバルサプライチェーンの混乱を招いていると、小委員会設置を要請した理由を説明しました。

また、日本政府の輸出管理強化措置は、政治的な動機による恣意的で差別的な措置であり、WTOの協定で禁止している行為だと強調しました。

日本が輸出管理を強化した品目は半導体やディスプレイ製造に欠かせない核心素材です。

日本政府は、韓国の大法院が日本企業に対して徴用工への賠償を命じる判決を確定したことを受けて、昨年7月に半導体やディスプレイ製造に欠かせない核心素材3品目を一般包括許可対象から個別許可対象に変更しました。

韓国政府は、徴用工判決に対する報復措置と見ています。

日本政府はさらに、去年8月には輸出承認手続きを簡素化する優遇対象国「ホワイト国」から韓国を除外しました。

日本側の一連の措置を受けて、韓国側は日本との軍事情報包括保護協定の終了、WTOへの提訴といった対抗措置に踏み切りました。

しかし、韓国政府は昨年11月、問題を対話で解決するために軍事情報包括保護協定の終了を猶予し、WTOへの提訴手続きも中断しました。

その後、二国間の高官級協議が進められましたが、日本側は消極的な態度で一貫し、これといった進展はありませんでした。

韓国側は日本側が問題視した輸出管理制度を整備したうえで、日本側に5月末までに解決策を示するよう求めましたが、日本側は具体的な解決策を示しませんでした。

日本側が解決策を示さなかったことから、韓国政府は6月2日に紛争手続きを再開することを決め、WTO事務局とジュネーブ駐在日本代表部に小委員会設置要請書を発送しました。

小委員会が設置されたことから、審理を担当する委員の選定が始まります。

委員は3人で構成されますが、提訴国と被提訴国の協議で決まります。

小委員会設置から判断が出るまでには通常10~13カ月がかかります。

小委員会の判断を不服とする場合、最終審にあたる上級委員会に上訴できますが、上級委員会は去年12月から委員の欠員で審理ができない状態が続いていて、紛争解決の手続きが順調に進むかは不透明な状況です。

日本側は会合で、「小委員会設置に失望した」としたうえで、「戦略物資の輸出管理は外国との協議対象ではない。日本はWTOのルールに違反していない」と改めて主張しました。

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