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論点

深夜の軍事パレード

2020-10-17

ニュース

ⓒYONHAP News

北韓は10日未明、朝鮮労働党75周年を祝う軍事パレードを実施し、新型の大陸間弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイルなどを公開しました。

深夜に軍事パレードを実施するのは異例ですが、その理由は明らかにされていません。

軍事パレードには最高指導者の金正恩国務委員長も出席しました。

金正恩委員長は演説で、アメリカを名指しで批判することはせず、一方で韓国との関係改善にも言及し、関心が寄せられています。

北韓はこれまでも軍事パレードで新型ミサイルなどの兵器を公開してきました。

今回の軍事パレードでも大陸間弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイルなど新たな戦略兵器を公開しました。

今回公開した大陸間弾道ミサイルは2017年11月に発射された「火星15」よりも一回り大きく、複数の弾頭を搭載できる多弾頭式とみられています。

映像に映った大陸間弾道ミサイルは搭載車両の車輪の数が「火星15」の片側9輪から11輪に増えています。

長さは23~25メートルと推定され、直径も一回り大きくなっています。

そのため複数の弾頭を搭載できる多弾頭式の可能性があるとみられています。

多弾頭式は一つの弾道ミサイルに複数の核弾頭を装備することが可能で、それぞれが違う目標を攻撃できます。

ミサイル1基でワシントンなど複数の都市を同時に攻撃できることになります。

また、「北極星4」と書かれた新型の潜水艦発射弾道ミサイルも公開しました。

以前の「北極星3」に比べると長さは短くなりましたが、直径は一回り大きくなりました。

北韓は潜水艦発射弾道ミサイルを搭載できる新たな潜水艦を建造中です。

軍事パレードではこのほか、事実上の短距離弾道ミサイルとも言われる超大型ロケット砲やロシアの「イスカンデル」に類似している短距離弾道ミサイル、アメリカ陸軍の戦術ミサイル「エイタクムス」に類似していると指摘される地対地ミサイルも公開されました。

パレードの前に行われた金正恩委員長の演説にも関心が寄せられています。

軍事パレードでは軍事力の増強を誇示しましたが、金正恩委員長の演説の内容は控えめでした。

金正恩委員長は演説で、北韓への軍事力行使に対しては「最も強力な攻撃力を先制的に総動員する」としたうえで、「自衛的手段として戦争抑止力を引き続き強化していく」として、核やミサイルの開発を継続する姿勢を強調しました。

その一方で、アメリカを名指しで批判することはせず、大統領選を控えて、アメリカを直接的に威嚇することを避けたものとみられます。

金正恩委員長は南北関係についても言及し、韓国国民を「愛する同胞」としたうえで、「新型コロナウイルスを克服し、北と南が再び手を取り合う日が来ることを願う」と発言しました。

こうした発言は、南北関係をこれ以上悪化させるのは北韓にとってもメリットがないとの判断が背景にあると受け止められています。

一方、金正恩委員長は時折声を詰まらせながら、新型コロナウイルスの防疫対策や台風被害などの災害復旧に取り組む軍の兵士や住民への感謝の言葉を繰り返しました。

北韓の最高指導者が公開の場所で涙を浮かべるのは異例です。

国際的な制裁の長期化で経済難が続く中、新型コロナウイルスや台風被害などで苦しむ住民への配慮を示す最高指導者のイメージを強調する狙いがあったとみられます。

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