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論点

習近平主席が韓国戦争演説で歴史否定

2020-10-31

ニュース

ⓒYONHAP News

中国の習近平主席は、韓国戦争から70周年となるのに合わせて開かれた記念式典の演説で、「中国の人民軍が平和を守り、侵略に反対するために国境を越えて北韓に入った」と述べ、韓国戦争を中国がアメリカの侵略を打ち破って勝利した戦争だと位置づけました。

習近平主席は23日、北京の人民大会堂で開かれた韓国戦争参戦70年の記念式典で演説し、「韓国戦争当時、アメリカとの国力の差は極めて大きかったが、中国は北韓と協力して戦い、戦争に負けたことがないアメリカ軍という神話を打ち破った」としたうえで、「脅しや封鎖、極端な圧力」は行き詰まりに陥るだけだと述べ、アメリカを強くけん制しました。

また、「中国の人民軍は、平和を守り、侵略に反対するために国境を越えて北韓に入り、北韓と手を組んで偉大な勝利を成し遂げた」としたうえで、その結果、「韓半島情勢を安定させ、アジアと世界の平和を守った」と主張しました。

中国では、韓国戦争から70周年の今年、韓国戦争を偉大な勝利と称えるキャンペーンが行われていて、習近平主席の演説も、韓国戦争でアメリカを打ち破ったとする歴史観を主張したものです。

中国は、韓国戦争を「抗米援朝(こうべいえんちょう)」、つまりアメリカに対抗して北韓を支援した戦争と位置付けていて、韓国戦争に参戦した1950年10月25日を「抗米援朝記念日」に指定し、毎年、式典などを開いています。

抗米援朝記念日を控えて、中国人民解放軍の機関新聞「解放軍報」は21日、「中国人民の偉大さをアメリカ人に知らしめた栄光ある勝利」を称える記事を1面に掲載するなど、中国の「対米勝利」を称えるメディアの記事が目立ちました。

こうした動きは、中国への圧力を強めるアメリカをけん制し、米中対立の長期化に備えて、国民の団結や奮闘を促し、内部の結束を図る狙いがあるとみられます。

論議を呼んでいるのは、中国の人民解放軍が、「平和を守り、侵略に反対するために、北韓と手を組んで偉大な勝利を成し遂げた」とした部分です。

韓国戦争が中国の支援を受けた北韓による奇襲攻撃で始まったことは、覆すことのできない歴史的事実です。

当時、北韓の金日成主席は韓国への奇襲攻撃を前に中国とソ連に支援を求め、中国が支援を約束したことにより、奇襲攻撃に踏み切りました。

習近平主席は「中国の人民軍が平和を守り、侵略に反対するために国境を越えて北韓に入った」と述べましたが、韓国戦争はそもそも北韓と中国が協力して韓国を攻撃した戦争であり、中国は平和を守り、侵略に反対したのではなく、平和を破壊した張本人だといっても過言ではありません。

にもかかわらず、韓国戦争をアメリカに対抗して北韓を支援した戦争と位置付け、アメリカの侵略に対抗して平和を守るために北韓を支援し、偉大な勝利を成し遂げたと主張して、歴史的事実を否定しています。

韓国国防部の徐旭(ソ・ウク)長官は26日、国会国防委員会に出席し、習近平主席の発言について、「同意できない」と述べ、韓国戦争については、「スターリンと毛沢東の支援を受けた北韓による奇襲攻撃で勃発した」と強調しました。

アメリカ国務省のオルタガス報道官も24日、「韓国戦争は毛沢東の支援を受けた北韓による侵略戦争だ」という考えを明らかにし、「自由主義国家の反撃が始まると、中国共産党は国境を越えて数十万人の兵士を送り込み、韓半島に戦争の惨禍をもたらした」と強調しました。

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