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論点

イランが韓国タンカーを拿捕

2021-01-09

ニュース

ⓒYONHAP News

韓国船籍のタンカーが中東ホルムズ海峡でイラン革命防衛隊に拿捕されました。

今月4日、拿捕されたタンカーはメタノールなどの化学物質を積んでサウジアラビアのジュバイルを出発、アラブ首長国連邦のフジャイラに向かう途中でした。

タンカーはイラン有数の貿易港であるバンダルアバスに抑留中です。

韓国外務省は、韓国人5人を含む船員20人の安全を確認し、船舶抑留の早期解除を求めました。

イラン政府は拿捕した理由について、ペルシャ湾を航行するすべての船は環境規制を守らなければならないとしたうえで、このタンカーが複数回にわたって環境を汚染したと主張しています。

タンカーの船会社はこれに対して、年に1回定期検査を受けており、3カ月前にも精密検査を受けたとしているほか、バラスト水を捨てる際は微生物などを除去して捨てているので、環境汚染の可能性はないとしています。

イラン政府は環境汚染が理由だとしていますが、環境規制違反に関する具体的な内容や証拠は公開していません。

一方、イランがタンカーを拿捕した背景には、韓国の銀行口座に凍結されている原油代金70億ドルの返還を求める狙いがあるとみられています。

アメリカによる対イラン制裁に基づいてイランの原油代金70億ドルが韓国の銀行口座に凍結されていて、韓国政府はイランとの間でこの問題について協議を続けていますが、これまで進展はありませんでした。

韓国の銀行口座に凍結されているのはイランの原油代金で、イランは韓国企業からモノを輸入する際にこの銀行口座から輸入代金を支払っていましたが、トランプ政権がイラン核合意から脱退し、イランに対する制裁に動き出すと、この口座も凍結されました。

イラン外務省の報道官は5日、拿捕したタンカーと乗組員を人質にしているわけではないと強調するとともに、「人質問題というなら、韓国が70億ドルの資産を根拠無く凍結していることのほうが問題だ」と指摘し、タンカーの拿捕が韓国の銀行口座に凍結されている原油代金と関係があることを間接的に示唆しました。

イラン国内では保守強硬派の勢いが増していて、タンカーを拿捕したのは、原油代金の返還を求めるとともに、友好国がアメリカに配慮してイランから離反するのをけん制するために韓国に圧力を加えている可能性もあるとされています。

韓国政府はタンカーが拿捕された直後にオマーンのマスカット港南側海域で海賊対策の任務を遂行中だった韓国海軍の駆逐艦をホルムズ海峡に移動させるとともに、外交部の中東局長をイランに派遣しました。

韓国とイランは、凍結された資金を新型コロナウイルスのワクチン購入資金として使用することを協議してきたとされています。しかし、ワクチンの購入資金として使用するにしてもアメリカ政府の合意が必要なため、まもなく就任するアメリカのバイデン次期政権をけん制する狙いもあると受け止められています。

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